小型衛星内で格安「宇宙科学実験」、実現へ一歩–仙台市のElevationSpaceが分離衝撃試験に成功

再突入カプセルを搭載した小型衛星を低軌道(LEO)に打ち上げ、本物の宇宙で格安に科学実験できるサービスの提供をめざす仙台市のベンチャーElevationSpaceは6月20日、衛星からの回収カプセル分離を模した「分離衝撃試験」に成功したと発表した。

同社は、宇宙の微小重力環境を生かした実験を無人の小型衛星で実施し、その成果物を地球に帰還させてユーザーの手元に届ける宇宙環境利用回収プラットフォーム「ELS-R」の実現を目指している。

宇宙での基礎科学実験は主に国際宇宙ステーション(ISS)で実施されているが、ISSは2030年に退役する。ELS-RはISS退役後の宇宙での基礎科学実験のニーズを拾えるほか、無人の小型衛星を用いるため、宇宙実験のコストも大幅に低減できる。

なお、同プラットフォームの実現には、回収カプセルを損傷させずに地球に帰還させる大気圏再突入、および回収技術が必要となる。今回の実験では、衛星から回収カプセルを切り離す際の衝撃がカプセルやペイロードに与える影響を確認し、分離機構が正常に動作することを確認したという。

ElevationSpaceでは今後、初号機「あおば」の打ち上げを予定している。あおばでは、宇宙で培養したユーグレナの微細藻類ミドリムシなどを持ち帰る予定だ。

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