W杯出場諦めていない!元日本代表GKシュミット「支えてくれる妻の言葉が励み」

元日本代表GKシュミット・ダニエル

日本の守護神となれるか。ベルギー1部ヘントの元日本代表GKシュミット・ダニエル(32)が本紙インタビューに応じた。昨季途中にベルギー1部シントトロイデンから同1部ヘントへ移籍。しかし、新天地では公式戦10試合の出場にとどまり、難しいシーズンを過ごした。それでも、決して悲観はしていない。不遇の時期の心の支えとなった家族の存在、W杯や代表復帰への思い、パリ五輪に出場するU―23日本代表に関する意外な見解などについて本音で語った。

――昨秋から英会話スクール(英語コーチングスクール「トライズ」)を利用。きっかけは

シュミット チームにいるネーティブの選手と話す時に、気を使われているのを感じて自分で話せるようになりたいと思った。以前より言葉がスラスラ出るようになったのは感じる。

――昨季を振り返って

シュミット(昨年の)夏に移籍がなくなって、それから試合に出られない日々が続いた。苦しい半年。移籍先(ヘント)でも最初の何試合しか出られなくて、チームの成績が落ちていくことにも責任感を感じるようなシーズンだった。

――苦しい時期を過ごした

シュミット やっぱり(試合に出られなくても)誰かが見てくれているというのを信じてやっている。自分の目標に向かって愚直に努力し続けるというのをやってきた。

――夫人のサポートも大きかったのでは

シュミット 支えという意味では、妻からの支えが一番。僕が沈んだ時には「今乗り越えれば、いい未来が待っている。ダン(ダニエル)なら大丈夫」と声をかけてくれる。大学時代から付き合ってて、これまで2人で乗り越えてきた。プロ駆け出しの試合の出られない時期も知っている。そういった時を見ているから彼女がかけてくれる言葉には説得力があってそれが励みになっている。

――ちなみに、一番好きな手料理は

シュミット なんでもうまいんですけど、意外とポテトサラダが好きかな。

――家庭では父親としての顔もある

シュミット 2人の娘を見ると安心する。娘たちがちゃんとした将来を持てるように頑張るのが父親の役目。本当に頑張ろうと思わされる存在です。

――W杯や代表復帰への思いは

シュミット もちろん次のW杯に選ばれたい。前回のW杯(カタール大会では出場機会なし)で、よりピッチに立ちたいという思いが強くなった。まだまだ諦めていない。まずはチームで結果を出すことに集中して、結果を出して初めて日本代表が副産物としてついてくると思っている。

――国内復帰を待望する声もある

シュミット 今はこの夏、日本に帰るっていうのは正直ない。まだギブアップしたくない。できるだけ海外でしがみついてやっていくことが僕が思う、日本人ゴールキーパーとしての価値を生み出せる方法だと思う。

――下の世代ではパリ五輪U―23日本代表GKの鈴木彩艶(シントトロイデン)と小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が活躍している

シュミット 2人とも空中戦が強くて世界基準で戦える選手。間違いなく2人ともクオリティーもある。本当に若くていいキーパーが出てきて危機感を持っている。

――五輪のオーバーエージ枠についての見解は

シュミット 個人的な意見なんですけど、いらないんじゃないかなって思うんですよ。特に今回のU―23代表はチームとして結束力が高いと思うし、このまま今のチームで戦ってみても面白いんじゃないかなって思う。オーバーエージに入る選手もクラブチームの活動を削っている。その選手のキャリアを変な方向に持っていかないような配慮は必要だと思う。

――新シーズンへの意気込みは

シュミット 契約は残り3年あるんですけど、この年齢で長期契約という意味でも期待されていると思っている。最後の半年とはまた違う結果をチームにもたらしたい。これ以上、下はないので、次のシーズンが楽しみです。

☆シュミット・ダニエル 1992年2月3日生まれ。米国イリノイ州出身。米国人の父と日本人の母の間に生まれる。東北学院高から中大を経て2014年にJ1仙台でプロデビュー。その後はJ2熊本などに期限付き移籍した。19年にベルギー1部シントトロイデンへ移籍し、今年1月から同1部ヘントでプレー。日本代表では18年11月のベネズエラ戦に初出場。22年カタールW杯では出場機会なしに終わった。23年3月には第2次森保ジャパンの初陣ウルグアイ戦で先発フル出場。国際Aマッチ14試合出場。197センチ、88キロ。

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