島原・杉谷地区の地下水脈 工業用の基準を満たす 昨年1月に市が発見 長崎

地下水の水量・水質調査を実施した杉谷運動広場近くの井戸=島原市宇土町(市提供、2月16日撮影)

 長崎県島原市の古川隆三郎市長は19日、半導体関連企業の誘致を視野に入れ、水質調査を実施していた杉谷地区の地下水脈が、工業用水の水質基準を満たしていることを明らかにした。
 古川市長は19日に開かれた市議会全員協議会で「優良な地下水脈と判明した」と説明。取材に「ミネラル分や塩分濃度が低く半導体関連や医療関連産業などに良い。企業誘致を行い、人口減少対策につなげたい」と語った。
 市商工振興課によると、調査は杉谷運動広場近くの井戸(深さ約190メートル)で2月13~20日に実施。業者に水量と水質の分析を依頼し、日量千トン規模の取水も可能と分かった。
 調査によると、水質はミネラル分が少なく工業用水に適している「軟水」。蒸発残留物、塩化物イオン、鉄、マンガンの含有量が、いずれも日本工業用水協会が定める基準値の2分の1から40分の1以下だった。
 調査費として、県から「半導体・医療関連企業誘致可能性調査補助金」約970万円の交付を受けた。県企業振興課は「半導体関連の製造は不純物が付着しないように純水を使う。不純物が少ない水であれば、企業もコストをかけず純水を作ることができる」と評価している。
 杉谷地区の地下水脈は、市有地を電磁探査するなどして市が昨年1月に発見していた。

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