英会話サークルがおもてなし 長崎でクルーズ船客に道案内 「また行きたいと思うように」

クルーズ船観光客に道案内する平川さん(右)=長崎市松が枝町

 長崎市内で活動する英会話サークル「サーティ」が、国際クルーズ船の外国人観光客に英語で道案内するボランティアに取り組んでいる。客船が寄港する日、松が枝国際ターミナル前に出向き、困っている人に声をかける。「多くの人と協力し、街全体のおもてなし向上につなげたい」と意気込む。

 5月下旬午前9時ごろ、ターミナル前にサーティのメンバーが集まった。この日は早朝からクイーン・エリザベスが寄港。今回の乗客は日本人が多かったが、外国人も含まれる。メンバーの平川富恵さん(58)は、観光案内板の前で立ち止まっていた初老の外国人カップルに話しかけた。
 2人が行きたいのは平和公園。平川さんは「他に行きたい場所はありますか」などと質問したり、案内板の路線図を指し示したりして、現地への道順を丁寧に教えた。安心した表情で電停に向かったカップルを見送りながら「私も海外旅行で現地の人たちの優しさに助けられた。クルーズ船の観光客は長崎に泊まらないが、まちなかを歩いた時に『親切だった』『また行きたい』と思える場所になるといい」と話す。
 サーティのメンバーは計25人ほど。週3回、土井首地区ふれあいセンター(柳田町)でレッスンする。昨年3月の国際クルーズ船の寄港再開を機に、スキルアップとおもてなし向上のため、有志メンバーが自主的にボランティアを始めた。
 何度かボランティアをするうちに、観光客の目的地や質問に、ある程度の傾向が見えてきた。これを基に、主要な観光地への案内や簡単な会話をまとめたテキストも自作し、レッスンで活用している。米国生まれで昨春、長崎に移住した講師の島田沙織さん(34)は「メンバーの行動力は素晴らしい。英語は使わなくては身に付かない、どんどん行動して実践的に学んでほしい」と期待する。

自作のテキストなどを用いながら英会話を磨いているサーティのレッスン=長崎市柳田町、土井首地区ふれあいセンター

 活動を通じ、ターミナル周辺の課題を感じる場面も増えてきた。例えば、電停に並ぶ観光客の列が車道にはみ出してしまったり、タクシー乗り場の歩道縁石が車いすでの乗車を妨げていたり。平川さんは事業者同士の連携や交通事業者の英語習得が進めば、現場の課題が共有され、解決につながるのではと感じている。「同じ思いを持つ英会話サークルがあれば一緒にやりたいし、交通事業者に英会話レッスンの希望があれば協力したい。英語は適当でも案外伝わるので、市民みんなが少しずつできるようになって、街全体におもてなしの心が広がっていくといい」と話している。
 サーティの活動は毎週火曜、金曜午後7時~9時と木曜午前10時~正午。土井首地区ふれあいセンター(電095.878.8809)。

© 株式会社長崎新聞社