高校生で出場の東京五輪から3年…20歳競泳の柳本幸之介が2大会連続の大舞台へ 地元開催世界選手権代表逃すもメダリストのサポートも力に復活

パリ五輪代表に選ばれた柳本幸之介(撮影・中村太一)

パリ五輪の競泳男子自由形リレー代表の柳本幸之介(日大)=佐賀県伊万里市出身=が2度目の大舞台で昨夏の悔しさをぶつける。2021年東京五輪では12年ロンドン五輪の萩野公介以来となる競泳男子の高校生代表として脚光を浴びたが、昨年地元九州で開催された世界選手権代表を逃すなど伸び悩んだ。苦しみを乗り越えた20歳は雪辱に燃えている。

しみじみと復活を成し遂げた心境を語った。3月に開催された選考会では200メートル自由形で2位。個人での派遣標準突破はならなかったがリレーメンバーでの内定を得て「ずっと結果がついてきてなかったので、ほっとしている」とうなずく。

生まれ育った佐賀から高校は親元を離れて東京・日大豊山高に進学。在学中に東京五輪のリレー代表にも選出された。ただ「出たことで満足してしまった」。800メートルリレーで第1泳者を任されたが、本来の力を発揮することはできずに日本は予選敗退に終わった。

五輪後に日大に進学したがタイムは伸び悩んだ。昨年の世界選手権の選考会前には、左足首の靱帯(じんたい)を不慮の事故で痛めた。選考落ちも喫して「地元からも期待をしていただいていた中で、本当に悔しかった」と言う。

復調へ大きな存在となったのは東京五輪の男子200メートルバタフライ銀メダルに輝いた日大の先輩でもある本多灯や、世界選手権の200メートル平泳ぎで銀メダルを獲得している花車優ら実力者だ。ともに練習を行う間柄でもあり日々刺激を受けている。

柳本は「いつも相談に乗ってもらっているし、練習中も負けていられないと大きな刺激をもらえる」と感謝する。

フィジカル面の強化も進めてきた。精力的な筋力トレーニングで体重は東京五輪時に比べ8キロ増えて81キロに。前回五輪で海外勢の体格に圧倒された経験を踏まえ、時間をかけて取り組んだ。「五輪で結果を出し、いろんな方に恩返しをしたい」。高校生オリンピアンとなった夏から3年。心身ともにたくましく成長した姿をパリで示す。(山田孝人)

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