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宝塚歌劇団宙(そら)組の団員女性=当時(25)=が急死し、昨年10月から中止していた宙組公演が20日、約9カ月ぶりに宝塚大劇場(兵庫県宝塚市栄町1)で再開した。劇場周辺には従来より多くの警備員が配置され、緊張した雰囲気の中での幕開きとなった。
通常ミュージカルとショーの二本立てだが、今回はショー「Le Grand Escalier ル・グラン・エスカリエ」のみの特別公演で、30日までのチケットは完売している。
女性は昨年9月末に急死し、兵庫県警は自殺とみて捜査。過重労働と上級生らによるパワハラが死の原因と訴えた遺族の主張を歌劇団側が認め、今年3月末、合意文書を交わした。
再開にあたり歌劇団は「出演者、スタッフの心身の状況を考慮し、十分な準備期間を確保した上で、確実に公演を実施できるとの判断に至った」と説明する。
パワハラの行為者である上級生らも出演者に含まれるが、歌劇団は「責任を負うべきは歌劇団である」として、団員個人の処分は行っていない。一方、外部有識者でつくる助言機関の設置やハラスメント研修の実施、過密な公演日程、慣習・指導方法の見直しなど、改革を進めているとする。
宙組では3~5月、俳優4人が退団した。
約6年、宙組を応援している40代の女性=大阪府=は「楽しみという気持ちはない。素直に感動していいのだろうか」と複雑な思いを明かす。再開初日に駆けつけたのは「大好きな宙組で何があったのか、このあとどう応援するかを考えたくて確かめにきた」からで、「今後宙組のファンになる人たちに正確に伝えるためにも、しっかり見たい」と話した。(小尾絵生、安藤真子)