【C大阪×浦和戦】10位後退・浦和レッズが再浮上するために必要なもの(2)奥田J1初得点を生んだ岩尾「問題プレー」とリンセンが示す「有効プレー」

この試合、メンバー外だった中島翔哉。やはり浦和には、この男が必要だ。原壮史(Sony α-1)

明治安田J1リーグ第18節、セレッソ大阪(以後、C大阪)対浦和レッズ(以後、浦和)戦が、ヨドコウ桜スタジアムで行われた。試合は2-1でC大阪が勝利し、2カ月ぶりとなる勝ち点3を手にした。
それまで勝点25で並んでいた両チームだったが、C大阪が6位に順位を上げ、逆に浦和は10位に後退した。浦和が4試合ぶりの勝利を目指した白熱の一戦を、得点シーンを中心に分析しよう。

スーパーボレーを誘発した「ヘディング」

コラム(1)に続いて、日本代表の毎熊晟矢に代わって出場した、パリ五輪世代の新星、奥田勇斗のプロ初、J1初得点となる右足スーパーボレーの場面から分析しよう。

48分、C大阪のコーナーキックをニアサイドにいた岩尾憲がヘディングでバイタルエリア(ディフェンス側のセンターバックと守備的ミッドフィルダーの間のエリア、もしくは、得点につながるプレーが起きやすいエリア)に跳ね返す。
そのボールを奥田がダイレクトでゴールに叩き込んだ。
奥田の見事なミドルシュートに目を奪われるが、ここでは岩尾が首を左から右に振って、ボールをバイタルエリアのほうにヘディングしたことが問題だ。
蹴られた方向に返しておけば、なんの問題もなかったシーンである。勢いを持って弾き返せるので、ボールはタッチラインを越えることができただろう。

「形に固執し過ぎない」ことで得点が生まれる

77分、途中出場のブライアン・リンセンが、右サイドからの武田英寿のクロスを頭で合わせて1点を返す。
C大阪の守備陣は完全にリンセンをフリーにしてしまっている。
ディフェンダーは、常に相手を手の届く場所においておかなければならない。なおかつ、C大阪のディフェンダー陣はボールウォッチャーになっており、リンセンの動きを見ていない。
浦和は同点弾を狙って攻撃力を高めるが、C大阪は最終ラインを5枚にして守備を固める。
結局、「数多くチャンスを作るが得点を奪えない」浦和が1-2で敗れることになった。
武田からのクロスを決めたリンセンのプレーのように、シンプルな攻撃も有効である。あまりに形に固執し過ぎると、「数多くチャンスを作るが、得点を奪えない」現象から浦和は抜け出すことはできない。
次節の浦和の相手は、直近5試合負けなしで2位の鹿島アントラーズである。浦和にとって、リーグ後半戦の最初の山場を迎える。この試合での勝敗は今シーズンの流れを決める戦いになるだろう。

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