W杯予選合宿中の日本代表襲った〝キャバクラ・セブン〟騒動 ジーコ監督の重い言葉

キャバクラ組を処分したジーコ監督

【多事蹴論89】日本代表で起きた史上最大スキャンダルのてん末とは――。2006年ドイツW杯出場を目指していた日本代表は04年2月、同W杯アジア1次予選オマーン戦に向けて茨城・鹿嶋市で合宿を実施した。その期間中にあったチームの食事会後に7人の選手が無断で外出した上でキャバクラで飲酒。しかも出前でとったすしを投げ合うなど“らんちき騒ぎ”で他の客にも迷惑をかけたという。

規律違反を犯したのはFW久保竜彦、MF奥大介、MF小笠原満男、MF山田卓也、DF茂庭照幸、FW大久保嘉人、GK都築龍太の7人。日本代表の宿舎からタクシーに乗り、小笠原の紹介で神栖町にあるキャバクラ「K」に入店。午後8時から同11時30分まで滞在。そこで接客を担当した女性の胸をわしづかみにするハレンチ行為や「デブ」などと暴言を吐いたという。さらに大久保が投げたすし(ウニ)が他の客に直撃するなど大騒ぎ。その費用は総額16万円に及んだという。後日、大久保は「すしを投げた? 覚えていない」と話し、久保は「投げたのはウニ? わからん」と語っていた。

7人(本当は8人。DF山田暢久は騒動になる前に退店)の行動は合宿中の無断外出となり「規律違反」に該当。サッカー界からは「日本代表にふさわしくない行動」「選手は日の丸の重みをわかっていない」「言語道断だ」「プロとしての自覚がない」「チームの管理体制も問題」など選手を糾弾する声が続出。さらにキング・カズこと元日本代表FW三浦知良は「普通の人が許されることでも代表選手には許されないこともある」と、後輩たちを非難した。

前代未聞のスキャンダルは連日、ワイドショーなどでも取り上げられるなど大騒ぎとなる中、人気バンド「サザンオールスターズ」の名曲「エロティカ・セブン」をもじって「キャバクラ・セブン」と呼ばれるようになり、替え歌も誕生。カラオケ店などで同楽曲のランキングが急上昇し、社会現象にもなった。

日本サッカー協会は問題の把握に努め、選手たちを事情聴取。川淵三郎会長はペナルティーなどについて「チーム内で処置してほしい」と、ジーコ監督に一任する考えを示した。当初、指揮官は厳重注意処分とする考えを示していたが、3月に入ると方針を撤回。同31日のドイツW杯アジア1次予選シンガポール戦のメンバーから「キャバクラ組」を除外すると表明し、実際に8人が日本代表から落選となった。

ジーコ監督は「国を代表して戦うプロ選手として責任は大きい。私が監督でいる限り社会的な責任もある。評価はピッチ内だけではなくピッチ外にもある。重い責任がある。信頼に対して裏切られたと感じた」と説明した。また、代表チームにかかわる一部スタッフにもペナルティーが科されたという。 (敬称略)

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