法人新設が過去最多 23年の和歌山県内、コロナ5類移行が刺激

和歌山県内法人の新設数

 和歌山県内で2023年に新たに設立された法人は642社で、08年の統計開始以来、最多だったことが東京商工リサーチ和歌山支店の調べで分かった。要因について同支店は「新型コロナウイルス感染症の5類移行で起業への関心が高まった」とみている。

 法人の新設を過去5年間でみると、19年に532社だったのが、20年に585社となり、21年はさらに増えそれまでで最も多い603社だった。22年には575社に減ったが、23年は前年比11.6%増と再び増加に転じた。

 23年の前年からの増加率を産業別でみると、金融・保険業がトップの66.6%増(9社↓15社)。次いで、サービス業他26.1%増(241社↓304社)、不動産業23%増(39社↓48社)、運輸業22.2%増(9社↓11社)、小売業13.5%(59社↓67社)、建設業3.5%増(84社↓87社)となった。

 一方で三つの産業が減少し、製造業30%減(40社↓28社)、農林漁鉱業18.7%減(32社↓26社)、情報通信業17.1%減(35社↓29社)となった。

 新設の642社を地域別でみると、和歌山市が304社(前年比20.6%増)で最も多く、田辺市53社(6%増)、橋本市43社(34.3%増)、岩出市37社(2.7%増)、西牟婁郡36社(5.8%増)などが続く。前年からの増加率が最も高かったのは1社が4社になった海草郡。東牟婁郡も14社が24社と大きく増えた。

 法人の設立が増加したことについて同支店は、コロナ禍の終息に加え、政府や金融機関、支援機関などが推進する起業支援の取り組みも法人設立の底上げにつながったとみている。

 23年の法人新設は全国的にも過去最多を更新した。一方で休廃業や解散、企業倒産は増加した。県内も同じような状況で、企業の新陳代謝が加速しているという。

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