一人一人の個性を自由に表現する 大分西高校美術部 【大分県】

5月に行われた「大分県高校文化連盟美術専門部スケッチ大会」は、大分県下から250人が参加し、大分県立埋蔵文化財センターで思い思いの1枚を描いた。大分西高校美術部は参加した10人中、7人が推奨を受賞した。「過去最高の成績となった背景には3年生の熱意がある」と話すのは顧問の井ノ上佐和子教諭。「自分を表現したいという気持ちが強く、それが後輩たちに良い影響を及ぼしている」と生徒たちの自主性を高く評価する。

通常であれば3年生は部活動を引退している時期だが、今年はそれぞれが目指す大会に向け作品制作を続けているという。2年時に入部した佐藤由菜(3年)は、「昨年は受賞できなかった大会に挑戦したいという気持ちがある。最後まで頑張りたい」と話す。受験期を迎える中で湧き上がる自分の気持ちを描き、大分県高校文化連盟美術・工芸中央展へ出展するという。

それぞれの個性あるテーマに合わせた1枚を描く

部長の小林孜悠(3年)は、第60回記念大分県美術展に向けてラストスパートをかけている。「一目では理解できないような謎を残す絵を描きたい。将来は画家、または絵の仕事に携われるよう美大に進学し腕を磨いていきたい。美術部に入部したことで将来の選択肢が増え人生が変わった」と話す。

美術部では、大会に出展しない部員でも部室に来て受験勉強などの自主学習をし、大会前には仲間を励ますなど多様な関わり方があるという。「学校はクラスの仲間だけではなく、それ以外にも自分の所属集団があることで心のよりどころになる。部活動は同好の友。文化部ならではの形で生徒たちをサポートしていきたい」と井ノ上教諭。「絵を描くことはもちろん、生徒一人一人の表現したいことを理解し、引き出すことが何よりも大切になる」と言葉を重ねた。今年も部員それぞれの個性を存分に発揮した作品が生まれる。

16人の部員たちが在籍し、さまざまな大会へ出展している

(塩月なつみ)

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