11歳の少年 いじめっ子へのマウントの取り方を学ぶ姿 「オールド・フォックス」本編映像

侯孝賢(ホウ・シャオシェン)がプロデュースし、台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐシャオ・ヤーチュエンが監督した映画「オールド・フォックス 11歳の選択」(公開中)から、11歳の少年リャオジエが、“腹黒いキツネ”と呼ばれるシャから、いじめっ子たちを見返す手っ取り早い方法を学ぶシーンの、本編映像が公開された。

主人公のリャオジエは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャと出会い、かわいがられるようになる。世の中の不平等に怒りをあらわにするリャオジエを気に入って、「他人を思いやるな」とリャオジエの心優しき父親とは真逆の生きざまを説き、相手への同情を断つ方法を教え込む。映像では、いじめに遭っていたリャオジエに鬱憤を晴らさせるべく、シャは高級車の助手席にリャオジエを座らせ、いじめっ子たちがたむろする公衆トイレへと向かう。車が近くに来るとトイレにいたいじめっ子たちの視線は釘付けに。シャはリャオジエに「真正面を見てろよ」と言う。リャオジエは緊張した面持ちでいじめっ子たちには目もくれず前を見つめる。

シャはわざとゆっくりと車を走らせ、トイレの前を通り過ぎる。トイレを通過したところでリャオジエはトイレを一瞥し、笑顔で「僕もなりたい、スカッとする」と、シャに羨望のまなざしを向ける。幼い頃の自分にリャオジエを重ねたシャは、「私の目に狂いはなかった 教え甲斐がある」と満足げな姿を見せる。重ねて「私の母親がいたら私を叱るだろう」と言うと、リャオジエも「僕の父さんも」と続ける。そして、「スカッとするのはなぜた?」とシャが問いかけると、「相手が怖がった」と満面の笑みで答えるリャオジエ。父とシャという真逆な大人たちの間で翻弄されていくリャオジエの姿が捉えられている。

「オールド・フォックス 11歳の選択」は、バブル期の到来を迎えた台湾を舞台とした作品。11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、父(リウ・グァンティン)と2人で台北郊外に暮らしている。自分たちの店と家を手に入れることを夢見る父子だったが、不動産価格が高騰。リャオジエは現実の厳しさと、世の不条理を知ることになる。そんなリャオジエに声をかけてきたのは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャ(アキオ・チェン)だった。他人にやさしい父と違い、他人なんか見捨てろと言い捨てるシャ。果たしてリャオジエは、どちらの道を歩んでいくのか。

主演のリャオジエを演じるのは、「Mr.Long ミスター・ロン」などで知られる、日台のダブルで台湾では神童と呼ばれる子役のバイ・ルンイン。「1秒先の彼女」のリウ・グァンティンが、ダブル主演としてリャオジエの父親役を演じる。“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャ役にはアキオ・チェン、秘書役に「怪怪怪怪物!」のユージェニー・リウ、経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイ役に、初の台湾映画出演となる門脇麦が顔をそろえる。

【作品情報】
オールド・フォックス 11歳の選択
2024年6月14日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開中
配給:東映ビデオ
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