『今日好き プサン編』4話ーー二人の男子の間で揺れる気持ち……現時点では「五分五分」

5月6日よりABEMAにて放送中の恋愛番組『今日、好きになりました。プサン編』(以下:今日好き)。現役高校生たちが2泊3日の修学旅行に飛び出し、運命の恋を見つける同番組には、時に甘酸っぱく、思わず胸がキュンとするような青春と恋模様が溢れんばかりに詰まっている。

以下より、5月27日公開の4話から見どころを紐解いていく。細かなネタバレもあるためご注意いただきたい。

・ゆう、そうま&じゅまの間で揺れる気持ちは「五分五分」 “ズルい”の意味が変わる時間に

『プサン編』4話は、2日目昼のグループ行動が終わり、全員が夕食のテーブルで再集合したところからスタート。(本当に熟睡できるかはさておき)部屋に戻ってベッドに潜れば、告白の時間も十数時間後といった状況。集まったメンバーの大半が奥手だからか、それとも見えない緊張感を共有してか、あるいはその両方か。誰もが2ショットを切り出せない時間がじりじりと流れる。そんな痺れる空気をこの後、見事に解きほぐしてくれたのがこのペア。じゅま(坂本ジェルー寿真)×ゆう(早坂ゆう)だ。

この2ショットが終わる頃には、ゆうの気持ちを自身とそうま(阿部創馬)の「五分五分」のところまで引き寄せたじゅま。「ゆうちゃんのことが、もう、好き、に、なってる」と、相手の顔色を確認するように、少し自身なさげに呟くも、返ってきたのはとびきりの笑顔。「ホンマ? ありがとう。“好き”とか言われたことない!」と、ゆうの『今日好き』で初めての“好き”を獲得した。

そこから、自身とおそろいとなるシナモンのぬいぐるみキーホルダーをプレゼントしたり、この日の昼に「ロッテワールド」にてゲトり、周囲からも人気だったミニプロペラ付きのカチューシャを託したり。そうまを中心とした恋愛相関図も盛り上がっているが、こちらだって負けていない。ゆうも「言ってくれるから、気にしちゃうじゃん」と、じゅまの方へと徐々に心を委ねているように思えた。

あと少し。あともう少し。ゆうの“気になる”をここまで引き寄せただけでも大健闘。だが、期待するのは、その先にあるカップル成立。大勝利である。ゆう曰く、一緒にいてドキドキする男子はじゅまで、落ち着いて話せるのはそうまとのことだが……。

思えば、前回の『ニャチャン編』で自身を振りながらも、1カ月の時を経て好意を寄せてきたてる(川端輝)に対して、「ズルい」と訴えたのが昨日のこと。先ほど、じゅまが言葉やプレゼントで想いを畳み掛けてきたとき、まったく同じ「ズルいな」という言葉がこぼれたが、同じ“ズルい”でもまったく意味が異なる。もはや今回の旅のキーワードともいえる“ズルい”の意味がポジティブへと変化する過程に、ゆうの心の変化も同調していけるか。じゅまだけでなく、ゆうの方にも勇気ある決断を期待したい。

・ひなの、そうまと朝食パンパーティ 「いっぱい食べる女の子どう思う?」

いよいよ最終日。おそらく“最後のアピールタイム”が待っているだろう、この後。ここからは、そうまが昨晩、意中の相手をねね(古園井寧々)に絞った前提で話を進めたいのだが、ひなの(瀬川陽菜乃)は早朝、朝食パンのパーティにそうまをお招き。「せっかくだから楽しくしようかなって思って、食べながら? どうですか?」と、ひなのチョイスのトレンドのクロッフル(プレスしたクロワッサン)やチュロス味のシナモンパンなど、合計4つのパンとともに、和やかなひとときを過ごそうとする。

ひなのは今回の旅の序盤、自身が大食いだと明かしており、ここでも「めっちゃ食べちゃうけど、引かんで?」と前置きをしてから、大きな口でパンをぱくり。見ていて気持ちがよいくらい、ぱくぱくと食べ進める。そのペース、パン1つを約3分。少し喋っている間に、すでにひとつ完食してしまった。そのまま2つ目のパンを半分平らげなら「いっぱい食べる女の子どう思う?」と、唇の周りに真っ白なクリームをたっぷりとつけて質問。まるでマンガに出てくる女の子のような光景。実年齢より、どうしてか幼い感じが心をきゅんとさせる。そんなひなのを横目に、そうまも次第に緊張感が抜けてきたようだ。

さて、ひなのがこの2ショットを考えた理由は、そうまの恋を「応援したい」から。そうまからアドバイスを求められると、「女の子はくねくねするより、ピシッと立っている男がカッコいい」とうれしそうに返答。告白の際には、相手の目を見て、自己主張はハッキリと。「誤字脱字、ダメ!」と、あくまで自身が引っ張る立場でいるべし、とのことだ。たしかに、ねねのようなか弱い女子を前に「くねくね」する男子はますます自信が見えなく思えてきそうである。

そのまま、この旅で出会い、同じ時間を過ごした上で「“可能性はない”って、優しく言ってくれたじゃん」「そうまくんを好きでいてよかったなって思いました」と、改めて想いを伝えたひなの。感謝をしながらも、食事のペースを緩めないあたりがひなのらしい。基本的に、パンをぱくつくときでなく、そうまと会話をするときしか大きな笑顔は出ないのだが、食べることが大好きなことを大袈裟なリアクションでなく、口に運ぶペースで暗に語るあたり、本当に“大食い”なのだと伝わったのではないだろうか。

ただ、人によっては、“こっちは告白前で緊張しているのに、なに呑気にパンなんか食べてるんだよ”と思うかも知れない。むしろ、前述の「応援したい」という想いですら、強い言葉を使えばただの“自己満足”で、押し付けがましいと思われる可能性だってある。が、ひなのは違った。

少しメタ的な視点でいえば、そうまはまず、自身を慕ってくれた女子がいたという事実をここで受け取った。これだけでも自己肯定感は上がるもの。さらに、ひなのが彼女の自分らしさ=大食いな一面を見せることで、そうまも本当の自分を見せ始めた。お互いがお互いの自分らしさを、ほんの少しだけでも認められたこと。この時間には、そんな意味が確かにあった気がする。こうした腹を割った話ができたのも、もう恋愛を意識する者同士ではなくなったから。そして、今回の旅で最も長い時間を共に過ごしてきたから。旅の最終日だからこそ観られた、なんとも意味深い2ショットだった。

別れ際、「私は食べます。いまからひとりで」と宣言し、そうまをグータッチで送り出したひなの。その流れで、フルーツを刺したフォークを口に運び、ぐわっと豪快に外す姿に、誰もが恋してしまったのではないだろうか? スタジオの“恋愛見届け人”を務める中川大輔が「わ~、うぅほ~! 最高!」とのたうち回っていたが、筆者も同様の動きをしてしまったと蛇足ながらに白状しておく。次回はいよいよ、運命の告白だ。

(文=一条皓太)

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