いま患者数が数倍に「片頭痛」の対処法は?頭痛慢性化も…薬の飲み過ぎ「MOH」に注意 西山茉希も悩み

患者:
朝起きた時に目の奥が痛くてこのまま消えるかなと思ったんですけど、どんどん痛くなってお昼過ぎにはダメでしたね。

2024年6月19日、都内のクリニックには、片頭痛の症状を訴える患者が多く訪れていました。

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せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅司院長:
気圧・温度差・湿度。この3つが3大要因なんですけど。ちょうどこの時期気温も湿度も上がっていくので、そうするとより頭痛が出やすい。

患者数が少ない月と比べると今は5~6倍になっているといいます。
片頭痛による悩みを訴える人は、芸能界にも…。

モデルの西山茉希さん。小学生の時から約30年間、片頭痛に悩まされていました。

片頭痛に約30年間悩まされている 西山茉希さん:
脳みそがギューッとなっていて、何にも巡らなくなっている感じの違和感。
おう吐とか下痢までセットできちゃうので、片頭痛っていう痛みだけではない感じ。

天気の悪い日や季節の変わり目に多いという痛み。頭痛が起こりそうな時には頭などをマッサージしているといいます。

西山茉希さん:
片頭痛では(病院に)行ってないです。頭痛いって言ったって簡単な頭の痛みじゃない。だけど(表現すると)「頭痛い」だけになっちゃう。

西山さんと同じように、頭痛に悩むものの、病院には「行っていない」という人たちも…。

主婦(40代):
いつものことだしっていう…。結局薬飲んでおしまいだったら市販薬のほうが良いのかなって。

多くの人が悩む片頭痛、どう対処すべきなのか?
頭痛専門医である朝日大学病院の下畑敬子さんに解説していただきました。

普段から気をつけるべき習慣&薬の使いすぎに注意 「片頭痛」普段から気をつけるべき習慣

――この頭痛は病気なのでしょうか?

朝日大学病院 下畑敬子頭痛専門医:
「たかが頭痛」といいまして、なかなか医療機関を受診するのはハードルが高いんですが、片頭痛というのはれっきとした神経疾患なのできちんと医療機関を受診していただくのがよろしいかと思います。

国際頭痛分類第3版によると、頭痛の診断名は300種類以上。
その中で、大勢の人が悩んでいる慢性的な頭痛は主に…
・頭の片側がズキズキ痛む「片頭痛」
・肩こりを伴い頭全体が締め付けられる様に痛む「緊張型頭痛」
・目の奥の激しい痛みが連日続く「群発頭痛」
などがあります。

片頭痛の原因やメカニズムは諸説ありますが、引き金になるのは、ストレス・月経・睡眠不足・疲れ・食事を抜く・気圧・温度差・におい・音・強い光など、さまざまあると考えられています。

片頭痛の症状は痛みだけではありません。吐き気やおう吐、光・音・においなどに敏感になるという症状もあります。
下畑さんによると「頭を振ったりお辞儀をするなど、体を動かしてみて痛みが増したら片頭痛の可能性が高い」ということです。

朝日大学病院 下畑敬子頭痛専門医:
片頭痛と緊張型頭痛は非常に見分けるのが難しいんですけれども、片頭痛は動くと頭痛が悪化する。それを利用したもので、頭を振ったりお辞儀というのは、深く頭を下げますと頭に血流が増えるのでそれでズキンズキンとする。片頭痛の場合は痛みが強くなります。緊張型頭痛の場合は動いたりするとかえって良くなるので、そこで見分けて早めに特効薬などを飲んでいただくのがよろしいかと思います。

悩んでいる人も多い片頭痛ですが、こんな習慣には注意が必要です。
「直射日光を浴びる」光が眼球を通って脳を刺激してしまう。
「混雑した場所に出かけることが多い」光・音・においなど物理的刺激が多い。
「食事を抜く」血糖値が下がり脳神経を刺激してしまう。
「休日に寝過ぎる」睡眠時間が長いことで血管が拡張し神経を刺激してしまう。

薬剤の使用過多による頭痛「MOH」

こうした片頭痛に多くの人が悩む中、問題になっていることも…。
薬の飲み過ぎなどが引き起こす、頭痛「MOH(Medication-overuse headache)」(エムオーエイチ)です。
市販薬などを過剰に飲むことで頭痛が悪化し、慢性化してしまうというもの。
最近、MOHの患者が増えてきているといいます。

日常的に頭痛がある人が市販薬・処方薬を過剰に飲んでしまうと、脳内の痛み中枢が敏感になり少しの痛みでも頭痛が起きるようになり、さらに薬を飲む回数が増え慢性的な頭痛になるという負のスパイラルが続いてしまうのがMOHです。

ではMOHにならないために薬をどのように飲めばいいのか?
下畑さんによると、薬を飲むタイミングは予防的に飲むと痛みが慢性化しやすいため、痛みが出始めて飲むのが効果的だといいます。頭痛薬を月に10日以上飲む人は病院で受診をした方がいいということです。

2021年に保険適用も 最新の予防薬が登場 片頭痛 最新の予防薬「CGRP関連抗体薬」

薬を飲んでも頭痛が取れないという人もいますがここ数年で頭痛薬の治療は大きく進歩しています。

2021年に3種類の片頭痛予防薬が保険適用となりました。「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)関連抗体薬」といわれるもので、用法は皮下注射で基本的に月1回。費用は保険適用3割負担の場合、約1万2000円~1万4000円。
下畑さんによると、この予防薬によって頭痛の日数が半減した患者が約7割、頭痛がなくなる患者もいたとのことです。まれにアナフィラキシーの症状が出ることもありますが、副作用は少ないということです。

――なぜこの予防薬は効果が高いのでしょうか?
朝日大学病院 下畑敬子頭痛専門医:
今までも予防薬はあったんですけれども、血圧の薬とか抗うつ薬とか抗てんかん薬がたまたま片頭痛にも効いたっていうものだったんですね。ところがこのCGRP関連抗体薬というのは片頭痛の病態に基づいて作られたお薬ですので、早く効いて効果も非常に良くて、副作用も少ないですし、注射なので飲み忘れもないですし、非常に画期的なお薬だと思っています。いままで効かなかった方にもかなり効く方が多いのでこちらも驚いています。
――誰でも受けられるのでしょうか?
もともとの病気が片頭痛であるということが大事です。緊張型頭痛や他の頭痛には効きません。月に4回以上発作があって、それまでに内服の予防薬が1種類以上効かなかった方、18歳以上の方が現在適用になっています。
――CGRP関連抗体薬は使い続けても大丈夫なのでしょうか?
長期効果でそれほど副作用はないというのはあるんですけど、やはり使えないタイプの方もいらっしゃいますし、ずっと一生使うわけではなくて、頭痛の頻度が元の半分になれば、一旦やめるということもできるので気軽に導入していただければと思います。

朝日大学病院 下畑敬子頭痛専門医:
片頭痛に悩んでいる方たくさんいらっしゃると思います。我慢している方とか、片頭痛の時って動けないので病院を受診できなくて「頭痛がないときに病院に行ってもいいのかしら?」って遠慮されている方もいると思うんですけれども、ぜひ気軽に頭痛外来、頭痛専門医がいる医療機関を受診していただければと思います。そうすると正しい情報と診断と正しい治療も受けられますので、QOLを改善することができますから、どうぞよろしくお願いします。

(『めざまし8』 2024年6月20日放送より)

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