「今度はスマホを人質に」携帯契約、マイナカード読み取り義務化「もう任意ではない」政府の暴挙に集まる怒り

6月18日、犯罪対策閣僚会議で発言する岸田文雄首相(左から2人め)(写真・時事通信)

6月18日、政府は犯罪対策閣僚会議を開催し、携帯電話契約時の「対面」での本人確認について、マイナンバーカードなどに搭載されているICチップの読み取りを義務づけることを決定した。

本人確認書類の偽造による携帯電話の不正契約などが相次いでいることを受けた措置で、ICチップがつく運転免許証や在留カードも含む。デジタル庁では、ICチップの読み取りアプリの開発を検討するとしている。

インターネットを通じた「非対面」の契約では、顔写真のない健康保険証などの本人確認書類や、運転免許証の画像を送信する方法は廃止し、マイナンバーカードのICチップ読み取りに原則、1本化する。

政府はこうした対応により、携帯電話を用いた特殊詐欺などの犯罪を減らしたい考えという。

「携帯電話の契約の際、本人確認書類から健康保険証を除く動きはすでに起きており、KDDIとNTTドコモは2023年5月に、ソフトバンクも同年6月に、取り扱いを終了しています。

同年6月に開催されたデジタル社会推進会議(議長・岸田文雄首相)では、デジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案をまとめ、非対面での銀行口座の開設や携帯電話の契約の際、本人確認の手段をマイナカードに一本化する方針を明記。運転免許証や、顔写真のない書類での確認は『廃止する』とも明記しています。対面契約でも、マイナカードを使えば、本人確認書類のコピーは取らないようにする方針をすでに決めていたのです」(政治担当記者)

政府としては、計画通りに進めているということだろう。

だが、2024年5月には、マイナカードをめぐって、大阪府八尾市の松田のりゆき市議が、本誌の取材に総額350万円の詐欺被害を訴えるなど、詐欺事件が相次いでいる。松田市議は、偽造したマイナカードを身分証として使われ、スマートフォンを勝手に機種変更された。その後、携帯を止めているにもかかわらず、ロレックスなどを購入されたと証言している。

さらに5月15日、警視庁池袋署は、千葉県船橋市のアパートの一室でマイナカードなどを偽造したとして、有印公文書偽造などの疑いで、いずれも中国籍で住居不定の彭楽楽(ポンローロー)・陸成龍(ルーチョンロン)の両容疑者を逮捕した。

東京新聞が報じたところによると、警視庁は2022年から千葉、東京、大阪で中国人グループの「偽造工場」の摘発を進めており、今回の拠点を4月24日に家宅捜索。偽造されたマイナカード7枚と在留カード約100枚、材料のカード約1万2000枚、プリンター、パソコンなどを押収した。捜査関係者によると、偽造マイナカードの販売額は1~2万円ほど。ラミネートにホログラムが施される在留カードに比べ、「マイナカードはホログラムがないから楽だ」と話すメンバーもいたという。

政府は現行の健康保険証を12月に廃止し、マイナ保険証に一本化する方針を決定している。だが、5月のマイナ保険証の利用率は7.73%と低迷。厚生労働省は利用者を一定以上増やした医療機関に支給する一時金の上限を倍増し、最大40万円に引き上げる方針だ。

その一方で、政府が、携帯電話契約時の「対面」での本人確認について、マイナカードなどに搭載されているICチップの読み取りを義務づけたうえ、インターネットを通じた「非対面」の契約では、マイナカードのICチップ読み取りへの原則1本化を決定したことに、Xでは批判的な声が殺到している。

《マイナカードは任意なのに、マイナ保険証の強制に続く暴挙》

《マイナンバーカードは任意と言ってるけど、作らないと生活に困るならそれはもう『任意』ではない》

《健康保険証を人質にマイナカードを強制しようとしたがマイナ保険証利用率6%と低迷で失敗。今度はスマホを人質にマイナカードを強制しようとする政府》

マイナカード普及のため、アメとムチを繰り返す岸田文雄政権。あまりに強引な政策はさらなる反発を呼びかねない。

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