都知事選、過去最高56人が立候補で“お祭り騒ぎ” 立候補の条件、実は緩かった?

ポスター掲示板(2024年6月20日、東京都千代田区、弁護士ドットコムニュース撮影)

6月20日に告示された東京都知事選挙(7月7日投開票)の立候補者が「56人」となった。これまで過去最多だった前回2020年都知事選の22人を大きく上回り、注目を集めている。

現職の小池百合子知事も同日、立候補している。「NHKから国民を守る党」が計24人の候補者を擁立したことなどが「過去最多記録」を後押ししたもようだ。

立候補者が多数になったことで、“イレギュラー”な事態も発生している。報道によると、都選挙管理委員会は、49番目以降の候補者にはアクリル板を渡し、各自で掲示板を増設するよう要請することを決定したという。都内に設置された候補者用のポスター掲示板のスペースが48人分しかないためだ。

多数の立候補者で“お祭り騒ぎ”の様相を呈している都知事選だが、そもそもこれほどカジュアルに立候補できるものなのだろうか。

●立候補の条件は“2つ”のみ「国籍と年齢」「供託金」

東京都知事選に立候補するためには次の2つの要件を満たす必要がある。

一つは、立候補する権利「被選挙権」だ。都道府県知事選では「日本国民」で「年齢満30年以上」であることが必要となる(公職選挙法10条1項4号)。

都道府県議員や市区町村議員のように、引き続き3カ月以上その自治体内など特定の場所に居住していることは要件となっていないため、都外に住んでいても立候補は可能だ。

ただし、禁固以上の刑に処せられている受刑者や選挙犯罪などを犯して選挙権や被選挙権が停止されている者などは、立候補が禁止されている(公選法11条1項)。

もう一つは、「供託(金)」で、都道府県知事選では候補者1人につき「300万円」を要する(公選法92条1項4号)。現金または国債証書を法務局に預け、その証明書を提出する。

供託制度は、本気で当選を目指すつもりのない人が売名などの目的で立候補することを防ぐためのものとされ、一定数以上の得票数を得られなかった候補者の供託金は没収される(公選法93条1項)。都道府県知事選の場合、「有効投票の総数の10分の1」が没収ラインだ。

なお、届出をした候補者が立候補を辞退した場合にも没収される。都知事選への立候補を表明していた元迷惑系ユーチューバーのへずまりゅう氏が、「(供託金の)300万円小切手で返金された」とSNSに投稿し話題になっていたが、正式な届出をする前に辞退したため、「取戻し」という手続きで預けた額をそのまま返金されたものとみられる。

© 弁護士ドットコム株式会社