55歳で定年退職するメーカー勤務の夫。ローンの支払いも残っているので不安です…

55歳の定年制は原則違法にあたる可能性が高い

前提として、55歳での定年制は現在の日本の法律では認められておらず、60歳を下回る定年制は原則違法となる可能性が高いです。

現在は高齢者の雇用機会を確保するために、定年制の廃止や65歳までの定年年齢の引き上げ、65歳までの継続雇用などが求められるケースがほとんどです。

50代で退職している方の割合

厚生労働省の令和3年雇用動向調査結果の概況によると、男性の50〜54歳の離職率は5.6%で、55〜59歳では7.9%となっています。

女性の場合は50〜54歳で10.2%、55〜59歳で9.1%の離職率となっており、男性よりも離職率が高い傾向にあるようです。

55歳で定年退職するリスク

もし55歳で定年退職をした場合、退職金や十分な貯蓄がなければ、退職後の生活が苦しくなってしまう恐れがあります。総務省が公表している令和3年の家計調査によると、2人以上の世帯における毎月の生活費は27万9024円かかるようです。

仮に退職金を1000万円もらっても、55歳から夫婦2人で働かずに生活していくとすると、約3年間しか生活できません。退職後に働かなくても生活費を補える十分な貯蓄や、ほかの収入源があれば問題ありませんが、そうでない場合は退職後の金銭面のリスクを考える必要があるでしょう。

55歳で夫が退職する場合に妻ができること

夫が55歳で定年退職する際に、退職後にかかる生活費やローンの支払いなどを考えて生活費の工面が難しそうであれば、対処法を考えなくてはいけません。ここでは、妻自身や妻が夫に対してできることをご紹介します。

夫に仕事を継続してもらうように伝える

まずは、妻から夫へ仕事を継続してもらうように伝えてみましょう。前述した生活費の目安では毎月30万円程度がかかるため、そのような具体的な生活費などを伝えて、夫に退職したあとのリスクを考えてもらう必要があります。

仮に住宅ローンが60歳まで残っているのであれば、せめて住宅ローンが完済する60歳までは仕事を続けてもらえないかなどの提案も1つの方法です。

いずれにせよ、退職後の金銭面のリスクを考慮して、2人で今後の生活や支払いについてシミュレーションをしながら話し合いをすることが重要です。

パートタイムで自分が働く

もし夫が退職をしてもアルバイトなどをしてくれるのであれば、妻もパートやアルバイトを行うことで生活費が賄える可能性もあります。例えば、夫が15万円、妻が10万円を稼ぐと合計25万円となり、毎月節約を心がければ、夫婦2人で収支が赤字にならずに済むかもしれません。

これまで専業主婦だった方であれば、専業主婦としての経験を生かせる家政婦の仕事や、家でもできる事務作業の仕事など、50代からでもやりがいを持って始められる仕事はたくさん存在します。

55歳で定年退職する場合は、退職後の生活費を考慮したうえでどうするのかを決める必要がある

55歳で定年退職する場合は、退職金や貯蓄の有無などによっては、退職後の生活が苦しくなるリスクも考えられます。そのため、退職後の生活が問題なくできるかどうかを必ず確認することが重要です。

もし退職後の生活費の工面が難しそうであれば、夫に継続して働いてもらえないか相談してみたり、場合によっては妻がパートなどで働きに出たりする方法も検討しましょう。

出典

厚生労働省 -令和3年雇用動向調査結果の概況-
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)I 家計収支の概況(二人以上の世帯)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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