イタリア女子トップクラブで不動の地位。確実に相手の攻撃をシャットアウトする南萌華が、かつて世界一に輝いた地で再び金メダルを胸に【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪開幕まで約1か月となった。ここでは12年ぶりのメダル獲得を目ざす日本女子代表の選ばれし18人を紹介。今回はDF南萌華だ。

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イタリアで安定したパフォーマンスを披露し、欧州の舞台でも活躍するローマ・フェミニーレ(女子チーム)の南萌華は、パリ五輪を戦うなでしこジャパンのメンバーにも順当に選出された。3バックと4バックを併用する池田太監督のチームの中で、どちらを採用してもレギュラーの一角になることが見込まれる。

浦和レッズレディースの下部組織で育った南は、2017年にトップ昇格。翌年からレギュラーの座を掴むと、リーグや皇后杯の優勝に貢献した。その間、世代別代表では14年にU-17女子ワールドカップの優勝メンバーに名を連ね、18年のU-20女子W杯ではキャプテンとして世界一を味わった。

そして21年秋に開幕したWEリーグの初年度を戦い、ベストイレブンを受賞して22年夏にローマへと移籍した。

女子チームの強化に力を入れ始め、前線にイタリア代表選手も獲得したローマが、最終ラインの補強として南に白羽の矢を立てた。その期待に応えるように、南が加入した2022-23シーズンにローマは初のリーグ優勝。今季はリーグ連覇とコッパ・イタリア優勝も成し遂げた。

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個人としても2シーズン連続でリーグのベストイレブンに選出されている。女子チャンピオンズリーグ(UWCL)にも2シーズン連続で出場したチームのレギュラーとしてプレーし、今年2月には2026年までの契約延長も発表された。現在のイタリア女子トップクラブで不動の地位を築き上げている。

地上戦、空中戦とも隙のない守備力が最大の魅力だ。派手さはないが、確実に相手の攻撃をシャットアウトしていく職人的なプレーを見せ、ビルドアップの場面では右足からのロングフィードも正確性が高い。なでしこジャパンでは19年、23年と女子W杯に2回出場し、21年の東京五輪も戦うなど国際舞台の経験も豊富だ。

今季はローマに熊谷紗希が加入したことで、クラブでもコンビを組んだ。また、センターバックとして選出されている高橋はな、左サイドでプレーする北川ひかるは浦和L時代にチームメイトだった。

ボランチの長野風花は同学年で浦和Lの下部組織から共闘し、世代別の女子W杯でも世界一の喜びを分け合った。周囲のポジションに気心の知れた選手が多いこともまた、チームにとっても南にとってもプラス要素だろう。

女子W杯と五輪では悔しさを味わうような結果が続いた。欧州での経験も得て、キャリアで最高の状態で迎えるパリ五輪は、U-20女子W杯で頂点を手にしたのと同じフランスでの開催。再び金メダルを胸にするため、なでしこジャパンの最終ラインで南が奮闘する。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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