「結果を残したい」宮田莉朋、走行経験あるバルセロナは今季最大のチャンス/FIA F2第6戦プレビュー

 6月21〜23日にスペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで2024年FIA F2第6戦が開催される。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)にとって、FIA F2開催コースで「唯一よく知る」サーキットでの一戦であり、また初挑戦となったル・マン24時間を終えて迎える最初の一戦となる。

 クール・レーシングの37号車オレカ07・ギブソンのステアリングを握り、クラス首位争いも経験した2024年のル・マン24時間。その3日後に行われた囲み取材にて、「富士やデイトナも経験していますが、どの24時間レースよりも過酷でした」と、宮田はル・マン24時間の素直な感想を口にした。

「当然、富士やデイトナの経験が生きた部分もあります。ただ、ル・マンはリスクが多く、そのリスクをどう乗り越えるかが結構難しかったかな、という印象です。コースやコンディション変化もリスクですけど、出ている車両台数も多い。そのためトラフィックマネジメントが難しく、スポーティングレギュレーションなども複雑なので、リスクマネジメントの面でほかの24時間レースとは違った難しさがありました」

ロレンツォ・フルクサ/マルテ・ヤコブセン/宮田莉朋 2024年WEC第4戦ル・マン24時間

 世界3大レースに数えられる伝統のル・マン24時間を終え、その余韻に浸る間もなく、宮田の視線は翌週に開催されるFIA F2第6戦に向いている。宮田にとってカタロニア・サーキットは、4月に開催されたELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第1戦でデビューウイン(LMP2クラス)を飾った地であり、FIA F2インシーズンテストでも2日目午後にトップタイムを記録するなど、好走を見せたコースだ。

 今季、未経験のコースにおいてライバル勢とのサーキットの習熟度合いの差で苦戦する宮田にとって、今季最大のチャンスとも言える一戦なだけに、予選前に行われる45分間のフリー走行のアプローチが気になるところだろう。

 今年からヨーロッパでのレースに挑戦する宮田にとっては、短い45分間のフリー走行で各サーキットの限界を掴むことがスプリントレースとフィーチャーレースで結果に繋げる鍵となる。そのため、第4戦イモラ、第5戦モンテカルロではコースを覚えるということに重点的を置いたランプランを採っていた。

「フリー走行では開幕戦バーレーンのように“予選シミュレーションも念頭に置く”か、それともイモラやモンテカルロのように“コース習熟に集中する”かの2パターンしかないと思います。バルセロナはFIA F2で唯一、よく知っているコースですので、今のところはどちらのアプローチでもいいとは考えています」

「ただ、バルセロナでは結果を残したい。そのため、個人的には予選シミュレーションに沿ったアプローチでフリー走行に臨んでもいいのかな、とは思っています」

2024年ELMS第1戦バルセロナ4時間レースの決勝スタートシーン

 そんな宮田は、カタロニア・サーキットについて、「結構高速コーナーが多いので、曲がるクルマじゃないと乗りづらい部分も出てきます。タイヤのデグラデーション(性能劣化)も大きいので、そこに対してクルマがどれだけドライビングに答えてくれるか。そして、僕自身もクルマに合った走りをしなきゃいけないと感じています」と話した。

「また、バルセロナはトラックコンディションも変わりやすいコースという印象です。FIA F2のフリー走行と予選の間にはF1が走るので、F1が走るとどれだけトラックコンディションが変化するのか、そういうところも鬼門かなと思っています」

2024年FIA F2第5戦モンテカルロ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)

 宮田は「バルセロナでは結果を残したい」という思いを話した。ただ、そう語る宮田に気負った様子やプレッシャーを受けている雰囲気はない。冷静に、結果に繋げるために自身のやるべきことを口にした。

「結果を残したい、何とかしたいという思いはありますけど、(バルセロナに向けても)いつもどおりですね。本当にFIA F2は説明が難しいのですけど、知っているサーキットでも本当にうまくいくかどうか、やってみなければわからないところもあります」

「事前にテストをしたサーキットで、ある程度わかっているコースであれば戦えることはバーレーンで感じたとおり間違いないので、変に気負わずに。自分が今まで経験してきたことを生かして、また足りないものが見つかれば改善してというプロセスを繰り返すだけです」

「しっかりと今のプロセスを大事に。もちろんバルセロナは知っているサーキットなので結果を残したいです。ただ、まずはチームと一緒に今ある課題を少しずつ改善して、自分の成長に繋げたいという思いですね」

 最後に、宮田は第6戦の予選目標を聞かれ、こう話した。

「やはりトップ10に入らないとポイント圏内というか、リバースグリッドにも入らないので、トップ10にはしっかりと入りたいです。そして、一番の理想はトップ5に常にいるレースにしたい、そう思っています」

 2024年FIA F2第6戦バルセロナ、レースウイークの走り始めとなるフリー走行は6月21日(金)の日本時間18時5分から行われる。ル・マンでの新たな経験を経て、また一歩前進する宮田の戦いに、引き続き注目したい。

2024年FIA F2第5戦モンテカルロ 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)

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