朝ロ間の包括的な戦略的パートナーシップ関係に関する条約 日本語版

朝鮮中央通信は「朝ロ間の包括的な戦略的パートナーシップ関係に関する条約」の日本語版(要旨)を配信した。

同通信が日本語に翻訳した条約要旨は次の通り。

【平壌6月20日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志とロシア連邦大統領のウラジーミル・V・プーチン同志が6月19日、「朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦間の包括的な戦略的パートナーシップ関係に関する条約」にサインした。

条約によると、双方は、自国の法と国際的義務を考慮して、国家主権に対する相互尊重と領土の不可侵、内政不干渉、平等の原則、そして国家間の友好関係および協力に関連するその他の国際法的原則に基づいた包括的な戦略的パートナーシップ関係を恒久的に維持し、発展させる。

双方は、最高位級会談をはじめとする対話と協商を通じて二国間関係問題と相互関心事となる国際問題に対する意見を交換し、国際舞台で共同歩調と協力を強化する。

双方は、全地球的な戦略的安定と公正で平等な新しい国際秩序の樹立を志向し、互いに緊密な意思疎通を維持し、戦略的・戦術的協同を強化する。

双方のうち、一方に対する武力侵略行為が強行されうる直接的な脅威が生じる場合、双方は一方の要求に従って互いの立場を調律し、当面の脅威を除去することに協力を相互提供するための可能な実践的措置に対して合意する目的で二国間協商ルートを遅滞なく稼働させる。

双方のうち、一方が個別的な国家、または複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態に瀕する場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて遅滞なく自国が保有している全ての手段で軍事的およびその他の援助を提供する。

各一方は、他方の自主権と安全、領土の不可侵、政治、社会、経済、文化制度を自由に選択し、発展させられる権利と、他方のその他の核心利益を侵害する協定を第3国と締結せず、そのような行動に参加しない義務を負う。

双方は、国際平和と安全を維持しようとする目的から発して国連とその専門機関をはじめとする国際機関の枠内で双方の共通の利益と安全に対する直接的、または間接的な挑戦になりうる世界と地域の発展問題において相互協議し、協力する。

双方は、戦争を防止し、地域的および国際的平和と安全を保障するための防衛能力を強化する目的の下、共同措置を取るための制度を設ける。

双方は、相互貿易量を増やすために努力し、税関、財政・金融などの分野においての経済協力に有利な条件を整え、1996年11月28日に採択された朝鮮民主主義人民共和国政府とロシア連邦政府間の投資奨励および相互保護に関する協定に従って相互投資を奨励し、保護する。

双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の特別、または自由経済地帯とそのような地帯に関与した団体に協力を提供する。

双方は、宇宙、生物、平和的原子力、人工知能、情報技術など各分野を含んで科学技術分野において交流と協力を発展させ、共同研究を積極的に奨励する。

双方は、総合的な二国間関係の拡大における特別な重要性から出発して相互関心事となる分野での地域間および辺境協力・発展を支持する。

双方は、朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の地域間の直接的な連携の樹立に有利な条件を整え、企業フォーラム、討論会、展示会、商品展覧会をはじめとする地域間の共同行事を行う方法などで地域の経済および投資潜在力に対する相互理解を促進する。

双方は、農業、教育、保健、スポーツ、文化、観光などの分野における交流と協力を強化し、環境保護、自然災害防止および悪結果の除去分野で相互協力する。

双方は、治外法権的な性格を帯びる措置をはじめ一方的な強制措置の適用に反対し、それらの措置の実行を不法的で国連憲章と国際法的規範に抵触する行為と見なす。

一方に反対して任意の第3国が一方的な強制措置を適用する場合、双方は危険を減少させ、それらの措置が相互の経済的連携、双方の自然人と法人、あるいは双方の司法管轄下にある彼らの所有、一方から他方へ向かう商品と双方の納入者が提供する作業、サービス、情報、知的活動の結果物、そしてそれに対する独占権に及ぼす直接的、または間接的な影響を取り除いたり、最小限に食い止めるための実践的な努力を傾ける。

双方は、国際テロと極端主義、多国籍組織犯罪、人身売買、人質抑留、不法移住、不法資金流通、犯罪的方法によって獲得した収入の合法化(マネーロンダリング)、テロ資金支援、大量破壊兵器の拡散に対する資金支援、民間航空および海上航行の安全を脅かす違法行為、商品と資金、資金手段、麻薬および精神復活剤とその原料、武器、文化および歴史遺物の不法流通のような挑戦と脅威との闘いで相互協力する。

双方は、国際情報安全分野において相互協力し、当該の法律規範的土台を発展させ、機関間の対話を深化させる方法などで二国間協力の強化を志向する。

双方は、この条約の履行のための部門別協定、そしてこの条約で規制しなかったその他の分野に関連する協定を締結し、履行する上で積極的に協力する。

この条約は、無期限の効力を持つ。(了)

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