前回のお話
親としての自信をなくしていたあやこさんは「ゆみかちゃんはママに愛されている」とはるさんに言われ涙が止まりません。そして、ゆみかちゃんに障害があっても必死に育てているのは選ばれたからじゃない、大切な娘だからだと気づいたあやこさん。「障害児のママは選ばれたとか偉いなんて言葉でゆみかの存在をなぐさめないで」と自分の本当の気持ちに気付くことができました。
障害児のママは神様に選ばれたと言われて[35]
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自分の中の答えがようやくわかったあやこさんに、はるさんが話しかけます。
「障害児育ててるとね、綺麗な言葉に苦しめられる事ってよくあるんだ。それはその人が本気で信じてる価値観かもしれないし、ただの挨拶かもしれない。でも・・・」
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「人の数だけ価値観があるから悪気なくそれを押し付けられる事もあるかもしれない。
あ、今は親切心はありがたく受け取ってるよ?言葉の意味は深く考えないで気持ちだけ受け取ってる。
私だって他人に価値観を押し付けてしまう時もあるだろうから、お互い様なのかもしれないしね。
だけど、そう思えるまでにずいぶん時間がかかった。だから・・・」
はるさんは自分の経験を交えながら話します。
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「もし瀬戸さんが辛くなったら、くっだらないマンボウの話でも思い出したらいいよ」
そう言って笑いながらあやこさんにポケットティッシュを差し出したはるさん。
ティッシュを受け取ったあやこさんはすっきりした顔でふふっと笑います。
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「マンボウって卵3億個産むんですね。はじめて知りました。うふふ・・・」
「そうだよ~日本の人口より多いんだよ?天国大渋滞だね」
他愛のない会話のあと、はるさんはあやこさんに呼びかけました。
「瀬戸さん」
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「あなたはどんな事があってもずっとゆみかちゃんを守ってきた。それで傷つく事もあったよね。
でも忘れないで。瀬戸さんがまだ気づいていないだけで」
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「あなたはひとりじゃないよ」
そう言ってはるさんはにっこり笑ってあやこさんの手を取りました。
続きます
植木千尋
ブロブフィッシュ似の主婦です
知的障害を伴う自閉症児を子育て&溺愛中