市の土地建物100万円で売却、丹波市長の故意や過失なし 「金額低くて違法」住民の請求棄却、神戸地裁判決

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 2021年に丹波市が市内の建設会社に土地建物を100万円で売却したのは「金額が著しく低くて違法」として、市内の男性が適正価格との差額分約2千万円を建設会社などに支払わせるよう林時彦市長に求めた住民訴訟の判決が20日、神戸地裁であった。龍見昇裁判長は市有財産の廉売は地方自治法違反に当たると認めた一方、林市長に故意や過失はないなどとして住民側の訴えを退けた。

 判決などによると、公売にかけられたのは市が取り壊す予定だった上小倉物品庫(同市柏原町上小倉)。市は倉庫の解体費用を差し引いた最低売却価格64万円で公売に出し、建設会社が100万円で落札した。

 龍見裁判長は不動産鑑定などに基づき「補修して利用すべきだった」とし、土地建物の価値を約1630万円と算定。地方自治法では適正な対価のない譲渡の場合、議会の議決を必要としており、同法に違反すると指摘した。一方、廉価での売却について林市長の故意や過失は否定した。

 判決後、原告の男性は「多くの疑問が残る判決。控訴を検討したい」と述べ、市は「まだ詳しい判決内容の書面を確認できていないのでコメントできない」とした。

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