斎藤知事、パワハラなど七つの疑惑を否定 批判文書問題巡り、公の場で初説明「指導は業務上必要な範囲」

文書で指摘された疑惑について資料を示して説明する斎藤元彦知事=20日午後、兵庫県庁(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県の元西播磨県民局長が斎藤元彦知事らの言動に違法行為があったとして告発する文書を作成し懲戒処分を受けた問題で、斎藤知事は20日の定例会見で、文書が挙げた県職員へのパワハラ行為など7項目の疑惑をいずれも否定した。斎藤知事が公の場で全ての疑惑について説明するのは初めてで、「職員を厳しく指導したことはあるが、業務上必要な範囲だった」と正当性を訴えた。 ### ■職員との意思疎通不足に反省も

 この問題では元西播磨県民局長だった男性(60)が3月、知事や県幹部職員の言動に「違法行為があった」とする文書を作成し、報道機関などに送付。男性は定年退職を取り消され、停職3カ月の懲戒処分を受けた。

 会見で、斎藤知事は県内企業から贈答品を受け取ったとされる疑惑や、次期知事選での投票依頼をしたとされる疑惑を否定した。

 商工会議所に圧力をかけ、政治資金パーティー券を大量に買わせたとする指摘に対しては「片山安孝副知事に一任しており、不当な圧力をかけるような指示をしていない」と自身の関与を否認。ただ、副知事に確認は取っていないとした。また3年前の知事選で幹部職員が投票依頼など事前運動をしたとの疑惑も「私は指示していない」とした。

 自らの職員へのパワハラ疑惑についても言及。文書は、目的地の建物の20メートル手前で公用車を降ろされたことに激怒したり、知事への説明の場で机をたたいたりしたとの記載があったが、「パワハラに当たる認識はない。厳しい指導や指示は、県政をよくしたいという強い思いがベースにあるからだ」と釈明した。

 その一方で「20年続いたトップ(井戸敏三前知事)が代わり、職員とのコミュニケーションが不足していた。もっと職員に感謝と信頼の気持ちを持つことが必要だと思った。自分自身が変わっていくのが大事だ」と反省の言葉を口にした。

 さらに、進退や来年夏の知事選への対応を問われると、「一日一日しっかり仕事をしていくことが私の責任。今はそこに専念したい」と述べるにとどめた。

 この問題は、男性が訴え出た公益通報制度に基づく調査のほか、知事が決定した第三者機関による再調査と、県議会による地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)で調査が進められる。(前川茂之)

© 株式会社神戸新聞社