長年親しまれたスーパー“トスク”閉店の「ソノアト」思い出そのままに心機一転 新たな店で再出発(鳥取)

2023年9月に全ての店舗で営業を終了した鳥取県東部のJA系のスーパー「トスク」。鳥取市の本店では、閉店後も営業してきたテナントも6月いっぱいで退去することになっています。40年以上にわたって営業してきた化粧品店では、目前に迫った移転の準備に追われています。

2023年年9月に全ての店の営業を終了したスーパー「トスク」。JA鳥取いなばの100%子会社で、1968年に創業。ピーク時には、鳥取県東部一円に24店舗を展開、売上も200億円を超え、「地域の顔」ともいえる存在でした。
しかし競争激化の影響で次第に売上が減少し…2023年に鳥取市の本店も55年の歴史に幕を下ろしました。
そしてシンボルともいえる本店の建物は6月末、一つの節目を迎えます。

おおはら化粧品店・大原真弓さん:
トスクがずっとあと5、6年くらい続いてくれたらよかったんですけど、閉店するとは思いませんでした。

18日、鳥取市の旧トスク本店の1階フロアを訪れると、テナントとして40年余り営業してきた「おおはら化粧品店」では、店主の大原真弓さんが、さみしさを口にしながら片付けに追われていました。

2023年9月にトスク本店は営業を終了。その後、営業を続けていたテナントも6月30日までに退去するよう求められ、当時12軒あったテナントは、5月末までに8軒が退去、期限が迫る今も4軒が営業を続けています。

おおはら化粧品店・大原真弓さん:
「言いたいことはいっぱいあるが、言ってもどうしようもない。終わってしまったことなので。

大原さんは71歳、トスクがまだ「生活センター」と呼ばれていたころ、店員として化粧品売り場を担当。その後、独立し、テナントとして自分の店を構えました。今年で開店46年目、長女の友美さんと二人三脚で店を守ってきました。

おおはら化粧品店・大原真弓さん:
やめるんだったら早く言って欲しかったな。教えて欲しかったなというのはあります。

テナントに対して、閉店について説明があったのは2023年2月。実は大原さん、その半年前に、フロアの改装のため店舗を移動、費用として数百万円を負担していました。これで退去となれば、二重の投資に。負担の重さに、一時は店を閉めることも考えたといいます。

お客さん:
無くならないだけね。まだあるから(寂しくない)。

声をかけてくれたのは常連のお客さん。こうした声や長女の友美さんの後押しもあり、大原さんは店を移転し、営業を続けることを決めました。

おおはら化粧品店・大原真弓さん:
悲しい時、楽しい時、なんでもお客さんや家族みんなが助けてくれるんです。今度はその人たちと自分のために向こうに行って続けるかな。さみしい気持ちもあるけど、新しい場所で切り替えて一からスタートしたいというのが1番。

取り付けられた真新しい看板。今の店から300メートルほどの所に新しい店を構えます。長年の常連客が足を運びやすいようトスクの近くで物件を探しました。7月8日の開店を目指し、準備を急ぎます。

おおはら化粧品店・大原友美さん:
「ひろ兄って呼んで、お兄ちゃんのように小さい時からお世話になってるんで、ここしかないと。

工事を依頼したのは、市内で家具店を営む、友美さんの幼なじみ。立て続けの移転作業で、予算や工期など厳しい条件でしたが、二つ返事で協力しました。

奥田家具・奥田博之さん:
やっぱり自分が携わって作った以上は、長く続けてほしいよね。

奥田さん、長年の思い入れのある調度品を引き続き使うことにしました。トスクでの思い出はそのままに心機一転、再スタートを応援します。

おおはら化粧品店・大原真弓さん:
本当に最後ですから。娘と今度はトスクに向かってお辞儀しようと思ってます。ありがとうを込めて。

閉店から9カ月、長年市民に親しまれてきた「トスク」は、いよいよ本当に終幕を迎えることになります。

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