米政権の対中関税引き上げ「極めて戦略的」=財務長官

[アトランタ 20日 ロイター] - イエレン米財務長官は20日、バイデン大統領が発表した対中関税の引き上げについて、極めて戦略的なものとの見解を示した。

大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領の関税案については対象が広範に及び、消費者の負担の増大につながるとの見方を示した。

イエレン氏はアトランタで行った記者会見で、バイデン大統領が示した新たな関税措置は、電気自動車(EV)や半導体のほか、太陽光発電関連製品などを中国の過剰生産から守ることを目的としていると言及。これらの部門の米企業が中国による「ダンピング(不当廉売)」で廃業に追い込まれるような事態は容認できないと述べた。

今月の主要7カ国(G7)首脳による中国の産業やビジネス政策に関する声明に言及し、他国も同様の措置を取っていると指摘した。

バイデン大統領が先月発表した関税は、数千億ドル相当の中国製品に最大25%の制裁関税を課すもので、これはもともと、通商法301条に基づきトランプ前政権が導入したもの。

イエレン氏は「中国が懸念に対処するため何もしていないことを踏まえると、関税撤廃は不適切だと判断した」と説明した。

全輸入品に10%、中国製品に60%超の関税を課すというトランプ氏の提案については、「米国の全ての貿易相手国と貿易全体に影響を及ぼす」と指摘。「消費者が購入する輸入品のコストを引き上げ、サプライチェーン(供給網)を輸入品に頼っている多くの米企業に影響を与える」とし、「コストは大幅に上昇する」と述べた。

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