先進国で出生率大幅低下、経済的懸念が重し=OECD報告

[20日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)が20日発表した報告書によると、先進国の一部で出生率が大幅に低下し、経済的懸念から子どもを持つことの負担を慎重に考える傾向が強まる中、今後も出生率は低い水準にとどまる可能性が高いことが明らかになった。

OECD加盟国の多くである程度の年齢になってから子どもを持つか、もしくは子どもを持たないかを選択する人が増えており、報告書は「若い男女は親になること以外の生き方に意義を見いだす傾向が強まっている」と言及した。

女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」のOECD加盟国平均は、2022年に1.5人と、1960年の3.3人から低下した。

合計特殊出生率が特に低いのは韓国で0.7で、イタリアとスペインはそれぞれ1.2。一方、最も高いのはイスラエルの2.9で、メキシコとフランスがそれぞれ1.8だった。

主要先進国で女性の出産平均年齢は2022年には30.9歳と、2000年の28.6歳から上昇した。

1935年生まれと75年生まれの女性を比べると、子供を持たない女性の割合は、エストニア、イタリア、日本、リトアニア、ポーランド、ポルトガル、スペインでいずれも倍増した。

OECD雇用労働社会問題局長のステファノ・スカルペッタ氏は電話会見で「OECD加盟国は家庭を支援するためにさまざまな政策を実施しているが、子どもを持つことによる経済的な負担や長期間に及ぶ資金確保への不安が、親になるという決断をする上で引き続き大きな影響を与えている」と指摘した。

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