署員の複数兼務、全県に 富山県警が7月「ブロック運用」4エリアで 事件、災害で相互派遣

  ●先行の砺波で効果

 富山県警が将来的に警察署を統合する県内4エリアで、7月1日から事件や事故、災害時に署員を応援派遣する「ブロック運用」を導入することが20日、分かった。先行導入した砺波、南砺、小矢部3署では初動対応の向上、署員の呼び出し回数の減少といった効果があった。管轄を越えて事件事故や大規模災害に対応する体制を構築し、警察力の向上を図る。

 ブロック運用が新たに導入されるのは高岡(高岡、氷見2署)、新川西(滑川、上市2署)、新川東(入善、黒部、魚津3署)の3エリア。署長、副署長、次長を除くすべての警察官が7月1日から各エリア警察署を兼任になる。

 県警警務課によると、2月15日から適用されている砺波エリア(砺波、南砺、小矢部3署)では、行方不明者捜索やひき逃げ事件などで、担当署がほかの2署に署員の派遣を要請し、対応した。派遣署員が事件や事故の現場保存を行うケースがあったほか、現場に警察官を早期に大量投入し、迅速な解決につながった例もあった。

 人員が限られる小規模署では、少人数で勤務する夜間や休日の当直体制の業務改善につながった。従来は事件事故が発生すると、勤務時間外の署員を呼び出すことが多かったが、3署で連携して対応することで署員の呼び出し回数が減り、「働き方改革」の推進となった。

  ●富山、射水導入せず

 県警は、砺波市苗加で建設予定の砺波エリアの新庁舎について、2026年度に工事に着手し28年度に完成させる方針としている。高岡エリアは建設予定地に立地する高岡西部中が27年4月に移転して以降、現庁舎解体の工事を進める。新川西と新川東の両エリアは建設場所の検討を進めている。富山市は富山中央、富山西、富山南の3署で、射水市は射水署が管轄し、ブロック運用はしない。

 県警は、4エリアのブロック運用について試行段階としており、効果や課題を検証した上で、本運用に移行する。横井貴暢警務課次席は「砺波エリア以外でも業務改善や対応力の向上に期待できる」と話した。

 ★富山県警の警察署再編 2021年2月に有識者でつくる「県警の機能強化を考える懇話会」が老朽化が進む小規模警察署の統合を提言したことを受け、県東部の富山市を除く5署と県西部の射水市を除く5署を4エリアに分けて再編統合する計画が決まった。各エリアの新庁舎の人員規模は100~120人程度を想定している。廃止される署は分庁舎として残す方針。各エリアで住民や有識者から意見を聞く広聴会を開き、新庁舎の建設地や分庁舎の活用方法を検討している。

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