回転窓/退職代行サービスの広がり

9・3%の企業が退職手続き代行サービス業者からの退職要請を経験していることが、東京商工リサーチの調査で分かった。大企業では18・4%と2割近い。接客や販売など消費者と対面する業種が多く、上位15業種に建設業は入っていなかった▼退職にはステップアップという前向きなものから、処遇や職場環境、人間関係への不満などさまざまな理由があろう。本来は自ら退職の意向を伝えるべきだが、ニーズがないところにサービスは生まれない▼「気に掛けてもらっていたから余計に退職を言い出しにくかった」とサービスを利用した人から聞いた。「退職代行業の浸透は『円満退職』という言葉を死語に追いやる契機になるかもしれない」(同社)▼エン・ジャパンが昨年10月に発表した調査によれば、退職代行サービスの利用率は2%にとどまる。だが、世代別では40代以上が1%なのに対して、20代は5%と多い。世代が変わるにつれて利用率が上がっていきそう▼最初は非常識と思われていても社会に浸透してしまえば当たり前になる。人的資本経営が求められる時代。常識の変化にも向き合うことが必要になる。

© 日刊建設工業新聞社