東京都/乞田幹線を再構築、シールド工法で新たな下水道整備

東京都は多摩地域で下水道幹線の再構築を推進する。多摩市や八王子市などから下水を集めて処理場まで流す「乞田幹線」の一部区間で、老朽化に伴い新たな幹線を建設。シールド工法を採用する計画で現在、工事に向け実施設計を進めている。作成中の都市計画変更案を公告・縦覧した上で都市計画決定する。具体的な時期は今後固める。
乞田幹線は、二つ以上の市町村から排出される下水を集めて水再生センターに流す流域下水道の一つ。稲城市大丸にある南多摩水再生センターが起点で、終点は南西方向にある八王子市鑓水(延長12・8キロ)。カバーするエリアは多摩市、八王子市のほか町田市の一部で約2835ヘクタールの下水を集めている。
再構築するのは、南多摩水再生センターから鎌倉街道(多摩市)までの約4キロの区間。既存下水道の近くに新たな幹線を構築する。
新たな幹線の内径は1・8メートルで、地表からの深さは最大約80メートル。工事に必要な立坑を南多摩水再生センターと都立桜ケ丘公園(多摩市)、鎌倉街道の3カ所に設置する。具体的な設置位置は調整中。シールドマシンは水再生センターを発進し、桜ケ丘公園を経由して鎌倉街道に到達する計画だ。
乞田幹線は完成してから50年が経過し、老朽化が懸念されている。内部は水位が高く、管の内側から改修するのは困難だ。新たな幹線の完成後、既存幹線と並行して使うことを想定しているという。
都は5月と6月に都市計画素案の説明会を開催。溢水(いっすい)リスクの低減などを目的に、新たに造る幹線を当初計画より0・8キロ延伸し、延長約4キロにすることなどを近隣住民らに説明した。今後は都市計画変更案を作成、公告・縦覧し、都民の意見を踏まえ早期に都市計画決定したい考えだ。

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