近畿整備局、近畿不動産鑑定士協会連合会/災害時の連携協定締結

近畿地方整備局と近畿不動産鑑定士協会連合会(光岡正史会長)が、災害発生時の用地取得や土地利用の迅速化に向けた協力体制を構築した。20日に災害時の不動産鑑定に関する協定を締結。協定に基づき連携を強化し、補償額算定に伴う不動産鑑定士の適切な選定と契約手続き期間の大幅な短縮を実現する。連合会に加盟する近畿2府4県各鑑定士協会の横連携も期待でき、広域災害でも柔軟かつ迅速な対応が可能になる。
従来は災害の発生地域に応じて個別に対応してきた。緊急を要するケースでも、不動産鑑定士に補償額の算定に伴う鑑定評価書を依頼する必要があり、発注手続きに2カ月程度かかっていたという。
協定では基本的に被災箇所を管轄する各事務所から支援要請を受け、本局が連合会に協力要請と構成員の最新情報(リスト)を依頼。各事務所がリストに基づき不動産鑑定士を選定し、随意契約を結ぶ。2カ月程度必要だった発注手続きも数日で完了し、災害時の用地取得、土地利用の迅速化が期待できる。
南海トラフ地震など大規模災害時に事務所対応が不可能な場合は、本局の防災室、用地企画課が窓口となり事務所と連携しながら対応に当たる。今後は同連合会対象外の福井県、三重県でも対応を検討していく。
不動産鑑定士協会と地方整備局の災害協定は3例目となる。2023年3月に中国地方整備局が各県の鑑定士協会と連合会の連盟で協定を締結。関東地方整備局は3月に東京都、6月に神奈川など8県の協会と協定を結んだ。
20日午後、大阪市中央区の大手前合同庁舎で協定締結式が行われ、長谷川朋弘近畿整備局長と光岡会長が協定書を交わした。
長谷川局長は「災害復旧工事など緊急時の鑑定評価を迅速に進めるための協定となる。大規模災害発生時に速やかな被災地の復旧・復興につながることを期待している」と協定締結の意義を強調した。光岡会長も「不動産鑑定士が一丸となり災害時の迅速な復旧と、愛すべき日本の国土と国民生活を守るために尽力していきたい」と語った。

© 日刊建設工業新聞社