ヤクルト、オリックスは今後の上がり目に期待できそう。中日はこのまま“指定席”に落ち着くのか【12球団パワーランキング:7~12位】<SLUGGER>

交流戦を終え、21日からリーグ戦が再開するプロ野球。このパワーランキングで、現時点での12球団の立ち位置を再確認してみよう。

【12位】西武(前回順位12位→)
シーズン:19勝44敗0分(勝率.302)/得失点差-88
交流戦:4勝14敗0分(12位)

渡辺久信監督代行の下で交流戦をスタートしたが、チーム成績は悪化し続けている。期間中は打線が打率.171と信じられないほどの不振に陥り、4勝14敗と負の連鎖から脱出する糸口さえつかめていない。

クローズアップされるのは高橋光成の未勝利(7敗)や、源田壮亮のヘッドスライディングも届かず敗れた試合など悲痛なシーンばかりで、このままでは球団歴代ワースト(84敗)更新どころか。1961年の近鉄以来となる100敗もあり得る。個人タイトル争いにからめそうな選手もおらず、出場機会を得ている若手も伸び悩んでいるが、ひとつでも多くの光明を見出したい。

【11位】中日(前回順位9位↓)
シーズン:27勝33敗5分(勝率.450)/得失点差-51
交流戦:7勝11敗0分(10位)

交流戦18試合でわずか33得点。打線が振るわず、7勝11敗とセ・リーグ最下位に終わった。内外野をこなすカリステがうれしい誤算となっているものの、岡林勇希は不振が長引き、村松開人も打率急降下。何より、新加入の中田翔が故障もあって苦しんでいるのが痛い。また、この状況でビシエドや石川昂弥を二軍に落とした立浪和義監督の起用法にも疑問が残る。
投手陣では高橋宏斗が防御率0.56と快投を続けているが、小笠原慎之介や柳裕也の調子はいまひとつ。強力ブルペン陣にリードを託す展開がなかなか作れていない。気づけば、シーズン通算の得失点差-51はリーグダントツワースト。このまま“指定席”の最下位にとどまるわけにはいかないのだが……。

【10位】ヤクルト(前回順位10位→)
シーズン:27勝33敗4分(勝率.450)/得失点差7
交流戦:9勝7敗2分(4位)

主軸の村上宗隆とオスナが交流戦で成績を落とし、山田哲人に復調の兆しが見えなくとも、交流戦は9勝7敗2分と何とか勝ち越しに成功した。打者有利の神宮球場も味方につけ、シーズン通算47本塁打と231得点はリーグトップ。対照的に、投手陣はセ・リーグ唯一の防御率3点台(3.52)と踏ん張れていないだけに、最終カードで980日ぶりの白星を挙げた奥川恭伸の一軍復帰は朗報だ。

借金6を抱えてリーグ最下位に沈んでいるが、得失点差は阪神と同じで、今後は巻き返す可能性は十分。首位・広島までも6.5ゲーム差と決して追いつけない差ではなく、混戦模様のセ・リーグをかき回すダークホースとなるかもしれない。【9位】オリックス(前回順位8位↓)
シーズン:29勝33敗2分(勝率.468)/得失点差3
交流戦:10勝8敗0分(5位)

6月5日から全試合1失点以下で7連勝を飾り、シーズン通算の得失点差もプラスに転じた。その間には19歳の斎藤響介と支配下登録直後の佐藤一磨が先発初白星を飾るなど、お家芸とも呼べる投手育成により昨季までを思わせる戦いぶり。そして、交流戦最終試合で山下舜平大が一軍に復帰し、故障離脱した宮城大弥も二軍のマウンドで投げ始めている。主力を欠くブルペンの負担も軽減しそうな見通しが立った。

一方、打線は交流戦18試合でわずか4本塁打に終わった一方で、
シーズン序盤に不振を囲った西川龍馬が復調傾向で、森友哉も戦列に戻ってきた。2021~22年を思い出しながら粘り強く戦えば、Aクラスに浮上する可能性は十分残されているはずだ。

【8位】巨人(前回順位6位↑)
シーズン:31勝30敗5分(勝率.5081)/得失点差13
交流戦:8勝9敗1分(7位)

交流戦序盤は打線が大人しく、5月28日のソフトバンク戦ではオコエ瑠偉のセーフティスクイズが物議を醸した。しかし、6月4日のロッテ戦でセ・リーグタイ記録の9者連続安打と1イニング12安打を記録。終わってみれば、DeNAと並んで交流戦12球団最多の72得点と打線が活性化したのは大きな収穫だった。 昨季は固定できなかったリードオフで丸佳浩が選球眼を発揮し、2番に打撃好調の新助っ人ヘルナンデスを置く起用が奏功している。にもかかわらず、6月7日からオリックス、楽天相手に2カード連続3連覇と安定感を欠く戦いが続いたのは残念だったが、投手陣、守備陣も状態は良好。打線が今後も好調を維持できれば、首位も十分狙える。

【7位】DeNA(前回順位7位→)
シーズン:32勝31敗1分(勝率.5079)/得失点差-7
交流戦:11勝7敗0分(3位)

交流戦はセ・リーグトップの勝率.611を記録し、打率.264と16本塁打はいずれも12球団1位。オースティンが交流戦最多5ホーマーを放つなど振れていて、7連勝で交流戦を終えた。ドラフト1位ルーキーの度会隆輝は一軍復帰後に躍動し、同5位の石田裕太郎が“マダックス”で完封勝利を挙げるなど、新戦力の台頭が目立つのも心強い。

首位広島までは3ゲーム差で十分に射程範囲内だが、チーム防御率3.18は2点台前半の上位3チームと比べると見劣りする。エースの東克樹、ケイに続く3番手以降の陣容をさらに安定させたいところで、石田裕の好調継続はもちろん、ジャクソンや大貫晋一の投球もカギになりそうだ。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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