交流戦優勝の楽天が一気にジャンプアップ!一方、昨季の覇者・阪神は一歩後退...【12球団パワーランキング:1~6位】<SLUGGER>

交流戦を終え、21日からリーグ戦が再開するプロ野球。このパワーランキングで、現時点での12球団の立ち位置を再確認してみよう。

【6位】楽天(前回順位11位↑)
シーズン:31勝31敗1分(勝率.500)/得失点差-36
交流戦:13勝5敗0分(1位)

交流戦開始時点の得失点差-00は最下位の西武より多く、光明を探すのが難しい状態だった。だが、いざふたを開けてみれば、球団初の交流戦優勝を飾り、シーズン勝率も5割に戻した。個人で特筆すべき成績を残した選手はそれほど多くはなく、優秀選手の選出もなかったが、今江敏晃監督が「全員が必死になって結果を出さないと勝てないチーム」と語った通り投打がかみ合い、一致団結で勝利を呼び込んだ。

そんな中でも光ったのは投手陣。3先発で防御率0.39を記録した早川隆久を筆頭に内星龍、松井友飛らが好投し、4点台だったチーム防御率は3.57まで改善された。そうなると、Aクラス入りを狙うには攻撃陣のさらなる奮起に期待したい。交流戦でつながりを見せた打線は、浅村栄斗が復調すれば一本芯が通るはずだ。

【5位】ロッテ(前回順位5位→)
シーズン:31勝27敗5分(勝率.534)/得失点差-20
交流戦:7勝9敗2分(8位)

交流戦前から続いていた連勝は11まで伸びたが、6月4日以降の3カードに続けて負け越し。佐々木朗希は戦列復帰後すぐに再び登録抹消となり、交流戦期間中の防御率は12球団ワーストの4.06と投手陣が苦しんだ。開幕投手の小島和哉が精彩を欠き、クローザーの益田直也も不安定なままでは、9ゲーム差まで開いたソフトバンク追撃もおぼつかない。 12球団最多の41失策を喫している野手陣は、バットでの援護も十分ではない。ただ、交流戦最後の2試合は中日相手に10対0、7対2と快勝。5月半ばに復帰して好調を維持する高部瑛斗に続き、二軍で打撃好調の藤原恭大が打線の起爆剤となれば面白い。

【4位】阪神(前回順位2位↓)
シーズン成績:32勝30敗4分(勝率.516)/得失点差7
交流戦成績:7勝11敗0分(10位)

交流戦は勝ち越し1カードのみ、7勝11敗で昨年の日本一覇者が信じられないつまづきで貯金をほとんど吐き出してしまった。自慢の投手陣は変わらず堅調も、打線のシーズン打率.220とOPS.593はリーグワーストの深刻さ。四番の大山悠輔が打率1割を切って6月上旬に二軍へ降格し、再昇格した佐藤輝明も一軍にとどまるのが精一杯でカンフル剤にはなれなかった。

交流戦18試合でチーム本塁打はわずか4本。阪急阪神ホールディングスの定時株主総会では、新たに外国人打者を補強しなかった点に疑問が寄せられた。大山が一軍に復帰し、リーグ戦再開後に対戦するDeNA、中日、ヤクルトには今季いずれも勝ち越し。これを仕切り直しにしたいところだが……。【3位】日本ハム(前回順位4位↑)
シーズン:32勝28敗3分(勝率.533)/得失点差23
交流戦:7勝10敗1分(9位)

一時期の快進撃は落ち着いても、6年ぶりのプレーオフ進出ラインであるAクラスは確保。交流戦では水谷瞬が史上最高打率.438を記録してMVPに輝き、正捕手の座を手にした田宮裕涼も.351のハイアベレージをマークして打線を12球団最高の打率.270に押し上げた。
ただ、投手は先発陣のほぼ全員が防御率2点台、ブルペンには20登板以上で防御率1.80以下のリリーバーが4人と表向きは盤石でも、力強さに欠く点は引き続き懸念か。投打で楽しみな若手が続々と台頭しているにもかかわらず、交流戦は7勝10敗1分と3つの負け越し。個々の選手の活躍を勝利に結びつけたい。

【2位】広島(前回順位3位↑)
シーズン:32勝25敗4分(勝率.561)/得失点差37
交流戦:10勝8敗0分(5位)

7年ぶりに交流戦を勝ち越して、セ・リーグの他球団がもたつく間に首位へ躍り出た。6月7日のロッテ戦でノーヒットノーランを達成した大瀬良大地を筆頭に、投手陣は交流戦で12球団唯一の防御率1点台(1.85)と好調を維持している。 一方、打線は相変わらずの迫力不足で、26本塁打はリーグ最少。相手投手陣から恐れられていないせいもあってか、四球率5.9%は12球団ワーストと出塁能力も低く、これではなかなか点が入らないのも当然だ。意外な不振に苦しむ坂倉将吾の復調はもちろん、二軍で圧倒的な成績を残し、支配下登録&一軍昇格を果たしたルーキーの佐藤啓介にも期待したい。

【1位】ソフトバンク(前回順位1位→)
シーズン:41勝19敗2分(勝率.683)/得失点差112
交流戦:12勝6敗0分(2位)

交流戦では優勝こそ逃したが、セ・リーグ球団相手にも変わらぬ強さを発揮し、着実に貯金を増やした。得失点差は早くも3ケタに乗り、戦いぶりも万全に思えるが、柳田悠岐が5月末に右太腿裏肉離れで長期離脱が決まったのは大きな誤算。さらに、6月12日には近藤健介も守備で右手首を故障。骨に異常はないとのことだが、今後の戦いで2人の故障がどう影響するか、不安要素ではある。

ただその分、川村友斗や廣瀬隆太ら若手が貴重な経験を積めているのは収穫。今の状況を「雨降って地固まる」とできれば、来季以降にもつながるはずだ。投手陣も先発、ブルペンとも盤石の状態に近く、つけ入る隙がほとんど見つからない。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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