“お金がほしい”若者はどう制約から自由になるか。「お金を貯めることしかり、人生しかり」と話す投資会社役員が考える当たり前の策

お金を増やすには、「稼ぐ力を伸ばす」「コスト削減」「長く働く」「お金を働かせる」の4つが大切だとするのは、日本初の独立系直販投資信託会社「さわかみ投信」の取締役・熊谷幹樹さん。

また知識ばかりを詰め込むのではなく、行動を起こし、かつ「お金を何のためにどう使うか」が本質であるという。

著書『格差社会を生き抜く投資の哲学 君の未来とお金の関係』(幻冬舎)から、「成功への道を阻んでいるのは自分自身」について一部抜粋・再編集して紹介する。

自由は自分自身の心の中にある

お金は欲しい。

だが(1)「稼ぐ(生み出す)力を伸ばす」には困難や挑戦がつき物だし、(2)「コスト削減」をしたければ、大好きな飲み会にもメリハリをつけなければならない。

お金に限らず、何をするにも制約ばかり。自由に生きたいのに生きられない。

自由はどこにあり、どうすれば制約から自由になれるのか?

結論からいうと、自由はいつも君自身の心の中にある。制約をつくっているのは社会でもなければ会社でもない。君自身だ。

確かに、(1)「稼ぐ(生み出す)力を伸ばす」には困難や挑戦がつき物だ。だがそれを克服できた時の達成感は格別で、仕事をする醍醐味そのものといっていい。

仕事上の困難や挑戦はできることなら避けたいと思いがちだが、困難や挑戦が何一つない仕事など、退屈するばかりなのも事実だろう。

(2)「コスト削減」も同様だ。

飲み会に行けないと考えれば制約だが、アルコールを飲まないことで健康になり、その時間を好きなことに使えると考えれば、断ることが健康と自由へのパスポートになり得る。

すべてはどう解釈するかの問題なのだ。

これはお金を儲ける(つくる)ことに限らず、実は人生そのものにも当てはまる。

ときおり大学での講義の機会をいただくこともあり、Z世代と呼ばれている若い諸君と話すことがよくあるが、「したいことが見つからない」「やりたいことが何もない」という声を聞くことがしばしばだ。

厳しい言い方になっていたら恐縮だが、それは「見つからない」のではなく、「見つけようとしていない」。つまりは見つけようという意思がないのだと思う。

小さな目標を立てることで夢が生まれる

そうした若者たちに「では夢はあるかい?」と尋ねると、定型文のように「今はない」との答えが返ってくる。

3年後、5年後にまた会って彼らに「夢はできたかな?」と尋ねても、同じように「今はない」との答えが返ってくると思う。

今、したいことがなければ、今後もしたいことは見つからない。今、夢がなければ、今後も夢を持つことはできない。

だからこそ、小さな目標を決めてそれに挑戦、できたことを見つけてそれを認識し、「できない」「やれない」「あとでやればいい」といった制約をとっぱらうことが必要なのだ。

「本当にしたいこと」や「絶対に叶えたい夢」は、「できた」「自分はやれる」「やってみるか」から生まれ、それを成長させてこそ、手に入れられる。

つまりは行動することなしに、変わることはできないのだ。

ベストセラー『嫌われる勇気』で有名な世界的心理学者のアルフレッド・アドラーはこれを、「過去と他人は変えられない。変えられるのは、自分自身と未来だけ」と表現している。

だからこそ、小さな目標を設定し、それをクリアする行為を、雪だるまのように積み重ねていくべきだ。

そのためにはカレンダーに目標達成すべき日付を入れ、今日からその目標に向かって歩み始めてみよう。

目標が達成できたらまた一歩高い目標を設定し、それを雪だるまを大きくするように少しずつ大きくしていく。

お金を貯めることしかり、人生しかり。成功は、自分の意思と行動からしか始まらないと肝に銘じよう。

熊谷幹樹
2001年、日本発の独立系投資信託会社であるさわかみ投信株式会社に入社。アナリスト・ファンドマネージャーを経て取締役運用調査部長に就任し、現在同社の戦略立案実行部門を主導。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA®)

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