バスケ日本に帰ってきた司令塔・町田瑠唯 「チーム力が上がる」 指揮官も唸る攻撃的パスセンス

オーストラリアとの国際強化試合に出場した日本代表の町田瑠唯【写真:Getty Images】

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女子バスケットボールの世界ランク9位・日本代表は20日、北海道の北海きたえーるで国際強化試合に臨み、同3位オーストラリア代表に96-85で勝利した。東京五輪以来、約3年ぶりに国内開催の代表戦に出場した町田瑠唯(富士通)が地元・北海道で攻撃を牽引。金メダルを目指すパリ五輪に向け、頼もしい31歳の司令塔がチームの攻撃力を引き上げた。

「RUI MACHIDA」のアナウンスに観客5476人が沸いた。第1クォーター(Q)残り5分44秒。町田が初めて代表戦で地元のコートに立った。「たくさんの声援が聞こえた。凄い力になった」。直後に山本麻衣の得点をアシスト。持ち味のパスで得点を演出し、第2Q終了間際には自陣から駆け上がった。ディープスリーでブザービーター。「あれはラッキーシュート」。苦笑いしつつ、会場に熱を生んだ。

ベンチスタートながら15分38秒の出場で5得点。アシスト6、リバウンド5はともにチーム最多だ。「今日は判断的にあまり良くなかった。それがミスに繋がった」と自分に辛口だが、恩塚亨監督の信頼は厚い。東京五輪後に就任した指揮官は「彼女のボールをさばく力は(町田も)生きるし、他の選手も生きる。チーム力が上がると期待している」とし、凄みをこう表現した。

「『この人はここに動く、ここでシュートを打ちたい』ということもしっかり思い描いて、その選手と連係を取ることができる。一緒にプレーする選手は気持ちよくプレーできるんだろうな、と。そこが凄い」。57-52の第3Q残り6分5秒では逆サイドに展開するロングパスで林咲希の3ポイントシュートをアシスト。攻撃を機能させ続け、日本は3Pを20本成功させた。

チーム最多20得点の馬瓜エブリンも「しっかり周りを見て、『今この選手いいよね』という時にパスが来る」と能力の高さを実感。「『ここが空いてるよ』って自分が気づいていなくても、(町田の)パスで気づくこともある」と自らのレベルを引き上げてくれるという。

町田は東京五輪準決勝のフランス戦で五輪記録の18アシスト。日本史上最高の銀メダルに大きく貢献した。以降はWNBAに挑戦したが、度重なる怪我で五輪以降は遠ざかった日の丸。今月5日の敵地中国戦でようやく復帰し、世界ランク2位の強豪への2連勝に貢献した。21日も豪州戦。「今日よりいいゲームができるように頑張っていきたい」。金メダルを目指す日本に頼もしい司令塔が帰ってきた。

THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku

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