田村監督コラム〈25〉WALK TO THE DREAM 前半戦暫定8位

◆いわきFC・田村雄三監督

◆「65得点以上」へ正念場

 シーズンが後半戦を迎えた。(前半戦のみを振り返ると)成績は1試合の未消化試合を残して7勝6分け5敗の暫定8位。まだ順位を気にする時期ではないが、本当に大きな選手の頑張りが今の成績につながっている。

 昨季の反省を生かして、今季は失点を減らし、ボール保持率を上げて試合を支配する戦いを目指した。2シーズン目を迎え、選手がJ2の舞台に慣れてきたことも前向きに作用し、前半戦はその狙いをおおむね体現することができた。

 特に良かったのは守備面だ。前半戦の総失点数は「15」。目標の「シーズン45失点以下」のペースをクリアした。GKやDFの選手たちはもちろんのこと、前線も含めた全員で意識高く守ることができている。

 一方で得点数は「26」で、目標の「シーズン65得点以上」のペースには届いていない。リーグの中ではクロスが少ないというデータが出ており、改善が必要だ。20本近くのシュートを打って1点しか取れなかった試合もあったが、こればかりは練習を重ねるしかない。選手と一つずつ課題を乗り越え、攻撃の質を高めたい。

 負けはしたが、実力のある選手をそろえる清水や仙台を相手にも試合を支配する時間をつくることができた。もうどこと戦っても、やりたいことはできる。おそらく選手も同じ感覚を持っているはずだ。

 ただ自分たちのサッカーができたからといって必ずしも勝てるわけではない。ちょっとしたクリアの質を突き詰めるなど、本当に細かい部分の積み重ねが勝ち点を手にすることにつながる。選手一人一人が自分自身に矢印を向けて成長することが、チーム力を向上させるだろう。上位クラブとの対戦が続く今月は「勝負の6月」と考えている。成長を続け、サポーターの期待に勝利で応えたい。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身。中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南強化部を経て15年にいわきFC強化部入り。17~21年に監督を務め、昨季途中から再び指揮を執る。41歳。

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