麻辣醤(マーラージャン)で夏はシビ辛スタミナそうめん

by 徳王 美智子

この時期になるとつい欲しくなるものがある。絶対に1回か2回しか使わないことは分かっている。でも毎年ついつい欲しくなるもの。それが「流しそうめん器」である(笑)。

流れてくるそうめんをすすって食べて盛り上がりたい! 片付けも面倒臭そうだし、しまっておくにも場所を取りそうだし、飽きっぽい私には絶対に必要のないものだと分かっているのだけれど、かなりの種類の流しそうめん器が売っているのを見ると、やっぱりかなり人気なんだろう。

シンプルにくるくる回るもの、ダイナミックに上から滑り落ちてくるスライダー式のもの、かわいいキャラクターがついているものなどなど。私も欲しいー! いや、でも使わないだろう……と葛藤している。そんな毎年の葛藤が始まると夏を感じる(笑)。

これだけ毎年悩みながらも、きっと今年も買わずに済むだろう理由は、自分の性格上すぐに使わなくなると明確に分かっていることもあるけれど、そもそも「冷たいそうめんを、めんつゆにつけて食べる」という、シンプルな食べ方をすることが少ない。そうめん自体は大好きで、夏に限らず年中食べるし、家で食べる麺類でダントツ1位に君臨している。でも8割がた温かいそうめんだし、冷たいそうめんの場合も具材やタレをぶっかけて混ぜて食べるスタイルで、世にいう「アレンジそうめん」がほとんどだ。

暑い夏に、薬味とめんつゆでツルツルさっぱり食べるそうめんも美味しいけれど、夏バテとは無縁の強い胃腸を持つ私は、さっぱりよりがっつりなのである。

さらに辛いものが大好きな私は、夏は特にスパイシーな温かいそうめんが大好き。汗をダラダラかきながら辛いそうめんを食べると、食べたあとの汗が気化したときに、スーッと整ったような気持ちになる。サウナが苦手なのでサウナで整うという意味が全然分からなかったのだけれど、辛いものを食べたあとに「きっとこんな感じなのかなぁ」と、「整う」が少し分かった気持ちになる。

辛いそうめんの中で、特にこの頃めちゃくちゃハマっているそうめんが、麻辣醤(マーラージャン)を使ったそうめんである。麻辣醤はスーパーなどでも売っているけれど、食べるラー油などと一緒で、商品によって使っている材料で味も辛さもかなり違う。

私のお気に入りは吉香居の麻辣醤で、近所の中国食材店で見つけたもの。かなり辛いのだけど、辛いだけじゃなくて味自体がものすごく好みだ。山椒と唐辛子の他に、生姜やニンニクシナモンや八角などのスパイス、さらにザーサイなども入っていて、この麻辣醤だけで料理の味が決まる。

とにかく美味しいので多用というか乱用している(笑)。そして簡単に作れるのでテレワークの日の1人ランチでは、ほぼ毎日この麻辣醤を使ったそうめんを食べている気がする。以下に3つほど、おすすめの「めちゃくちゃ簡単麻辣そうめん」を紹介する。

1.麻辣そうめん
この麻辣そうめんを1番食べている。何せ鍋ひとつで5分程度でできる手抜きランチだし、私は汁物が好きだからだ。

鍋に400ml程の水と顆粒の鶏がらスープの素を入れて火にかける。沸騰したらそうめん(別茹でせず乾麺のまま)を投入して、そこに麻辣醤を大さじ1杯入れる。1分ほど煮たら溶き卵を入れて完成。インスタントの袋麺を作るよりも時短。

そのまま鍋のまま食べたいくらいな気持ちになるけれど、ちゃんと器に移して食べている。それだけで丁寧な料理になる(笑)。やる気や時間や食欲があれば、豆腐やお肉や野菜など、余り物でもいいのでなんでも一緒に煮込んでも美味しいし、具を入れるとちゃんとした食事らしくなる。水じゃなくて豆乳で作ると、麻辣担々麺という感じになって、これまた美味しい。

2.麻辣ニラ納豆そうめん
こちらも調理時間は5分程度。でも、包丁もフライパンも鍋も使うという時点で、かなり手間がかかった立派な料理である。でも納豆好きには堪らない、スタミナそうめんだ。

好みの長さにニラをざく切りして、それをフライパンで麻辣醤と合わせ20〜30秒程炒める。炒めたニラと納豆を和える。茹でたそうめんの上にドーンとのせる。思い切り混ぜて思い切り食べる。以上! という感じ。

卵黄なんてのせたらこれまた美味しすぎて病みつきになること間違いなしである。そうめんは温でも冷でも合うのでお好みで。

3.麻辣肉そぼろそうめん
これは簡単と言っていいんだろうか。ニラ納豆そうめんよりだいぶ切る量が多い。

まず椎茸をみじん切りにする。フライパンに豚ひき肉を入れて炒め、火が通って色が変わったらみじん切りにした椎茸を入れ、そこに麻辣醤を投入してさらによく炒める。茹でたそうめんの上にドーンとのせる。

思い切り混ぜて思い切り食べる。ひき肉だけでも美味しいのだけれど、ゴロゴロとした椎茸の食感とお出汁感がそぼろの美味しさを引き立ててくれるので、椎茸が嫌いじゃなかったら、ぜひたっぷり多めの椎茸と一緒にどうぞ。

私が作る麻辣そうめんは、めんつゆで食べる普通のそうめんより実はさらに手抜きだ。なぜならばネギや茗荷などの薬味を切る手間もなければ、器ひとつで食べられるので、薬味入れや蕎麦猪口など、洗い物が増えることもない。

いくら簡単とはいえ、間違えても炊事を担当していない人が、作る人に「簡単にそうめんでいいよ」なんて言ってはいけないということは肝に銘じて、美味しいそうめんの季節をお過ごしくださいませ。

あー、でもやっぱり流しそうめんを1回くらいはやりたいなぁ(笑)。

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