石丸は?都知事選でマスコミは蓮舫・小池ばかり…報道しない自由炸裂!都知事、取材もせずに放送法を無視に「あまりに不公平」イデオロギーにうんざり

7月7日投開票の東京都知事選が6月20日に告示される。新聞社やテレビ局といったマスメディアの注目は現職の小池百合子知事と立憲民主党を離党した蓮舫参院議員の「女傑対決」に絞られている。

だが、今回の知事選は4年前の前回(22人が出馬)を大幅に上回る50人以上が立候補の意向を示しており、一部からは「公平に扱われないのはズルい」といった声があがる。なぜマスコミは「主要候補」だけを取り上げるのか。経済アナリストの佐藤健太氏は「今後は不公平にならないようマスコミのあり方も問われる」と指摘する。

東京都知事選の共同記者会見で4人のみが登壇した…マスコミ自体が公平性を欠いているのではないか

知事選の告示日前日にあたる6月19日、日本記者クラブ主催の討論会が開かれた。この日までに50人以上が立候補の意向を表明し、どのような形式で討論が繰り広げられるのか楽しみにしていたのだが、登壇したのは前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、小池氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、蓮舫氏(五十音順)の4人だけ。他の候補者の参加は見られなかった。

それもそのはず、日本記者クラブの公式サイトにある共同記者会見の案内には、4人の名前だけが記されていた。しかも「日本記者クラブ会員ならびに会員社メディアの記者のみ参加いただけます」と断りがあり、ペン取材の定員は30人。参加申し込みが多い場合には抽選が行われる旨が記されていた。

「その他大勢」については名前も“一覧表”でしかわからない

率直に言って、なぜ4人だけが選ばれたのか不思議でならない。他にも立候補予定者はたくさんいるのに「その他大勢」ということでしかマスコミは報じない。新聞社やテレビ局は政治家らに「質問時間が制限された」「質問する人が限定されるなど閉鎖的だ」と批判するシーンが目立つが、そもそも「マスコミ自体が公平性を欠いている」のではないかと映る。

選挙とは本来、誰もが年齢などの一定条件を満たせば立候補でき、その報じられ方も公平であるべきだろう。テレビ局でいえば、ワイドショーやニュースで報道するのはほとんどが小池氏と蓮舫氏の2人だけだ。石丸氏や田母神氏については少し触れるところもあるが、放送時間を見ると極端に少ない。「その他大勢」については名前も“一覧表”でしかわからないほどだ。これのどこが「公平」なのだろうか。

理想は立派だが、現実のマスコミ各社、ジャーナリストにはイデオロギー・偏りがある現状

日本記者クラブのサイトを見ると、同クラブは1969年に「日本新聞協会、日本放送協会、日本民間放送連盟の会長3人が設立発起人となり、全国の新聞、通信、放送各社に呼びかけて創設されました」「日本記者クラブは、日本で唯一の『ナショナル・プレスクラブ』です。会費により運営され、政府などからの公的な財政援助は一切受け取っていません。非営利の独立組織であり、2011年4月には公益社団法人の認定を受けました」と記されている。

会員は主要な新聞社、テレビ局、通信社で、個人会員として報道機関幹部、記者やOBらが参加している。そこで、日本記者クラブの核をなす一般社団法人「日本新聞協会」のサイトを見ると、2000年6月21日に「新聞倫理綱領」なるものが掲載されている。

そこには「新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである」とある。いわく「新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである」というのだ。

その姿勢は素晴らしいし、そのようにあるべきだろう。しかし、現実を見ると新聞社の論調はイデオロギー的要素が残り、テレビ局も視聴率を追いかけている。加えて、最近は「活動家」を思わせるような特定の立場・信条に寄り添う記者・ジャーナリストも目立つのはたしかだ。

テレビが小池氏・蓮舫氏を中心に取り上げている現状は放送法に背いていないのか

テレビ番組も疑わしいものがある。国会でも取り上げられることが多い放送法4条は「政治的に公平であること」を定める。「政治的公平」を確保していると認められないケースとしては、たとえば選挙期間中に特定の候補者のみを取り上げる特別番組を放送するなど、「明らかに公平性に支障を及ぼす」といった場合が想定されている。

現在の状況は特別番組ではないものの、ワイドショーやニュースは小池氏と蓮舫氏だけを取り上げている。新聞協会と民放連は、新聞倫理綱領や放送法に背いていないのか改めて検証されるべきではないか。

小池氏の卒業証書について、カイロ大名誉教授が「本物です」と証言したが、その部分はあまり報じられていない

2人に関する報道を見ていても、「バイアス」を感じることが少なくない。たとえば、6月18日に小池氏の元側近が「学歴詐称で刑事告発した」というニュースだ。多くのメディアは元側近が会見したことを報じたのだが、この会見にはもう1つの「要素」がみられた。6月19日に「東スポWEB」は詳細を報じているのだが、会見の質疑応答で予想外の展開があったのだ。

それによれば、小池氏が卒業したというカイロ大学の副学部長も務め、卒業証書などの発行プロセスにも関与した経験がある同大の名誉教授が「(小池氏の)卒業証明書は本物です」「卒業証明書を持っている以上に何が必要なの?」などと反論したという。だが、ほとんどのマスコミで報道されたのは「元側近が刑事告発した」という部分だけで、この部分は報じられていない。

この問題については、なぜ海外に記者がいる新聞社やテレビ局がカイロ大学に問い合わせをしないのか、あるいは照会した結果を報じないのか不思議でならない。誰が、何を言っているのかということよりも、マスコミが主体的にカイロ大学に取材すれば良いだけではないか。小池氏が主張する通り、実際に卒業していたのならば「疑惑再燃」と選挙直前にネガティブキャンペーンを展開したマスコミはどのように責任をとるのだろうか。

アントニオ猪木「出る前に負けること考えるバカいるかよ」蓮舫氏報道にもマイナスのバイアス

こうした“バイアス”は蓮舫氏についても同じ傾向がある。立憲民主党は6月18日に蓮舫氏の離党を承認した。だが、一部には「蓮舫氏は都知事選で敗れてもすぐに復党し、次の総選挙に出る」といった観測記事がみられている。人気プロレスラーだったアントニオ猪木氏は「出る前に負けること考えるバカいるかよ」との名言を残したが、蓮舫氏についても同じなのではないか。

20年間務めた参院議員を辞め、知事選に挑むのだから先のことまで考えていないと信じたい。もしも、本当に「すぐに復党し、総選挙に出た」時に批判すれば良いのであって、これから選挙戦に乗り込もうという時に記者個人の観測でマイナスイメージを与えるのは酷だろう。

マスコミの公平性、報道しない自由に疑問

テレビ局の政治記者によれば、「これからも実績や知名度、各種調査結果などを総合的に判断して報じる」といい、告示後も主要候補のみをメインに報じる予定だという。ある新聞社の編集幹部も「世論(情勢)調査などの結果も踏まえながら候補者の取り扱いを決めることになる」と語る。だが、まだ選挙戦が始まってもいない段階での報道のあり方には「不公平」と感じる人は少なくないはずだ。

新聞社やテレビ局といったマスコミは、そうした声にどのように答えるのか。単純に候補者が多いということが理由ならば、報道のあり方を再検討したら良いだろう。あらゆる情報がスムーズに入手できるネット時代、その「公平性」に厳しい視線が送られている。

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