ウクライナ、デフォルト回避も最大42%債務免除か=JPモルガン

Karin Strohecker

[ロンドン 20日 ロイター] - 米金融大手JPモルガンのストラテジスト、ニシャント・M・プージャリー氏は20日付の顧客向けメモで、8月末に元利払いの一時猶予措置が切れるウクライナ政府発行の外貨建て債券がデフォルト(債務不履行)となる可能性は低いとの見通しを示した。

ただ、ウクライナ経済はロシアによる侵攻で危機的状況にあり、発行総額は約200億ドルに及ぶ。債務再編交渉は既に始まっているがウクライナ政府は17日、最初の交渉では合意に至らなかったと公表したばかり。今後、物別れに終わったり、支払い猶予期間の延長で決着しなかった場合はデフォルトに陥る恐れがある。

プージャリー氏はメモの中で、外債保有者と政府いずれもが経済の下振れの可能性と利払い実行を念頭に交渉に当たっている点をプラス評価し、総じて見れば交渉は良好に推移していると指摘した。

両者の提案は隔たりが大きいのも事実で、プージャリー氏はそれらを念頭に置いた妥協案も想定。その場合をシミュレーションしたところ、債権の一部放棄が不可避で「最終的に30―42%の範囲に及びかねない」と記した。

想定した妥協案では、外債は3種類に分けられる。一般的な商品設計のものと、償還まで表面利率が徐々に上昇する仕組み債の一種「ステップアップ債」、元本と表面利率が税収平均を基に調整されるタイプの債券という。

トレーダーウエブのデータによると、ウクライナのドル建て債券価格は、額面1ドルに対して0.27―0.31ドルの水準に落ち込んでいる。

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