伊藤匠新叡王「ぶれずに高みを」初タイトル奪取から一夜明け「孤高」への決意新た

 一夜明け会見で笑顔を見せる伊藤匠新叡王

 将棋の伊藤匠新叡王(21)が、第9期叡王戦5番勝負第5局(20日、山梨県・甲府市「常磐ホテル」)で藤井聡太七冠(21)に勝利して初タイトル獲得から一夜明けた21日、同市内で会見を行った。

 花束を受け取り会見中には笑顔も見せた。「対局の後で深く寝つくことはできなかった。たくさんの方からお祝いの連絡をいただいて、少しずつ喜びは込み上げてきた」と3度目の挑戦での初タイトル獲得から一夜明けた気持ちを語った。

 「今回はまずは熱戦をお見せできるようにしたいという気持ちで臨んでいました」。相手の藤井七冠には、プロ入り後は持将棋を挟んで11連敗と苦戦していたところだったが、今回のタイトル戦だけで3勝を挙げてタイトルを独占していた同級生から奪い取った。

 師匠の宮田利男八段からは「25歳まで酒とギャンブルは禁止」と言われており、「25歳からは解禁したいか?」という質問には「あまり自分としては現時点ではそういったところに関心はない。現時点ではあまり考えていない」と苦笑いだった。

 会見では「孤高」と記した色紙を掲げた。「孤高という字は棋士になったころからよく書いている文字。意味としては、自分の中で信念を持ってぶれずに高みを目指すという解釈をしている」と説明。その上で「昨日の将棋は最後まで優劣のはっきりしない熱戦を見せられた。これからもそういう将棋をお見せして将棋界を盛り上げていけたらと考えています」と新叡王としての自覚も口にした。

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