酒田沖「洋上風力発電計画」巡り賛否の声 市民の声拾う意見交換会は全7回・人口の100分の1にも満たない【山形発】

山形・酒田市沖に検討が進む「洋上風力発電」について、住民対象の意見交換会が始まった。賛成や不安・さまざまな声が上がる中、これらの声を踏まえ市や県は今後どのような判断をしていくのだろうか。

初の意見交換会に約30人が参加

酒田沖の洋上風力発電をめぐっては、現在、事業化の前の段階となる国の「有望な区域」に指定され、今後、可能かどうかを含め具体的な検討が進められる見通し。意見交換会は、酒田市民の声を聞くために県と市が開いたもので、初めてとなった6月14日には約30人が参加した。

酒田市の担当者は、14日の意見交換会を洋上風力発電に対する「意見を聞く場」として、「進めることを決める場」ではないとした。

事業化への懸念の1つは「漁業への影響」。県や市の担当者は懸念を取り除いていくことが重要だとした上で、建設後の「振興策」についてたたき台などを示した。
意見交換の場では、賛否、さまざまな意見が出された。

住民からの意見:
「原子力と違ってそんなに問題もないでしょうし、ぜひ私としては洋上風力発電を進めてほしい」「酒田共同火力ほどの雇用力があるかわからないが、地域振興策を考えるにあたり地元の雇用を一番に考えてほしい」
「大きな風車が建って、振動や羽の回転の影響で、果たして魚が卵を産みに来るのか私は心配」
「私はいま陸上風車の近く、約2kmの所に住んでいるが眠れない。酒田はほかの地域と比べて住宅街が海に近い。それも踏まえて騒音に対してどう考えているのか」

住民から寄せられた意見に県の担当者は「酒田市沖の洋上風力を議論する上で、その対策を考えて事業者に求めていく方向で、皆さまのご理解をいただいていかなくてはいけない」と話した。

また、中学校区単位で計7回とした意見交換会の開催については、「住民の声を十分に拾えないのでは」との指摘もあった。

住民からの「今のところのこの予定では、酒田の人口の100分の1にも満たない。これで『酒田の市民に知ってもらおう』というのはまず無理。以前に『自治会単位でやってほしい』とお願いした」という指摘に対し、市の担当者は「自治会単位でやると現実的には難しいということで、地域の代表者に聞きながらこういったやり方でさせていただいている」と理解を求めた。

しかし、この日は初回にも関わらず、約70席あった会場には空席が目立ち、課題が残る結果となった。意見交換会は6月26日までに計7回行われ、17日は第三中学校の学区の住民を対象に行われた。

(さくらんぼテレビ)

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