南島原の自転車歩行者専用道路 事業費が50億円超に増額 コスト高騰…全線開通も3年遅れ 長崎

島原鉄道の旧南線跡地に整備が進む自転車歩行者専用道路=南島原市有家町

 長崎県南島原市が島原鉄道・旧南線の廃線跡地に整備中の自転車歩行者専用道路(旧加津佐駅-水無川手前・32キロ)の事業費が、人件費や資材費の高騰などで当初予定の約1.4倍の50億円超に上る見通しであることが20日、分かった。定例市議会一般質問で、市が隈部和久議員(向日葵)の質問に答えた。
 市は2019年11月、自転車活用推進計画を策定し、28年度末までに市内全域が対象の自転車ネットワークを整備する方針。同専用道路はその中核に位置付けている。通勤や通学、災害時の避難道路など市民の利便性を高めるほか、サイクリング客の誘致による交流人口増大も狙っている。
 財源には国の社会資本整備総合交付金や地方創生道整備交付金も活用。当初は事業費約35億円(うち市負担約5億円)の予定で19年度に着工、23年度の完成を目指していた。
 しかし22年11月、老朽トンネルの補強工事などが必要となり総事業費が10億円増の約45億円に膨らむことが明らかになり、市民から「見通しが甘い」との指摘が上がっていた。今回はさらに5億円増え、全線開通も当初計画から約3年遅れの26年3月になる見通し。
 隈部議員が「これ以上、事業費が増えることはないのか」と見解を求めたのに対し、松尾利明建設部長は「建設コストが高騰している。その影響を受けて整備費が増額している」と述べるにとどめた。
 市建設課によると、同専用道路は現在、深江ふれあいの家-ふかえ桜パーク(いずれも深江町、約3.4キロ)など15カ所計約17キロが供用開始している。

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