ソン・フンミンは許しても韓国ファンは許せない…同僚MFの“差別騒動”でトッテナム訪韓に暗雲か

韓国代表FWソン・フンミン(31、トッテナム)を人種差別した選手の訪韓を、韓国のファンは快く受け入れるだろうか。

ソン・フンミンは6月20日、自身のインスタグラムを通じて「ベンタンクールと話をした。彼が過ちを犯したことを知り、謝罪を受け入れた。ベンタンクールが(人種差別の)意図を持ってそのようなことを言ったのではなかった。僕らは依然として兄弟であり、何も変わっていない」とし、ベンタンクールの謝罪を受け入れた。

続けて、「すでに過去のことであり、僕らは一つになった。プレシーズンに再び団結し、クラブのために一つになって戦う」と、ファンにもベンタンクールへの許しを求めた。

ソン・フンミンが上記のコメントを伝えたのは、トッテナム同僚のウルグアイ代表MFロドリゴ・ベンタンクール(26)が今月14日、母国の番組『Por la Camiseta』に出演した際、MCからソン・フンミンのユニホームが欲しいとせがまれて「ソニー(ソン・フンミン)の従弟のユニフォームを持ってきてもわからない。みんな同じように見えるから」と発言したことが発端だ。

ベンタンクールの発言は、ソン・フンミン含むアジア系の顔が似ているという意味とも捉えられる。実際、欧州や南米でアジア系を侮辱する際に用いられる表現なだけに、韓国を中心にベンタンクールに対する非難の声が高まっていた。

ソン・フンミン本人が公式的にベンタンクールを許したことで、一連の騒動は終結した。

7月に訪韓を控えているが…

ただ、わだかまりを完全に払しょくできたわけではない。

騒動が起きてから1週間、何の対応もしてこなかったトッテナムは、ソン・フンミンが発信してから、遅れてクラブとして公式な立場を示した。

トッテナムは「クラブはこの問題に関して、前向きな結果が出るよう支援を行っている。我々はキャプテンのソニーがこの件にけじめをつけ、新しいシーズンに集中できると感じていることを全面的に支持している」と曖昧な立場を発表した。

ベンタンクールが悪かったという指摘もなければ、彼に処分を下すという内容もなかった。

トッテナムの発表からは、クラブのキャプテンを務める東洋人が人種差別に遭ったにもかかわらず、「ソン・フンミン本人が許した」という理由だけで、明らかな人種差別をそのままやり過ごそうという意図が見て取れる。

(写真提供=ロイター/アフロ)ベンタンクール(左)、ソン・フンミン

今回の件にはイギリスの人権団体も乗り出し、「ベンタンクールに処分を下さなければならない」と、人権問題に対する声を高めている。

しかし、トッテナムは沈黙している。

イギリス国営放送『BBC』でさえも、「トッテナムがベンタンクール問題に対応できる“ゴールデンタイム”を逃した」と指摘した。

より大きな問題は、トッテナムが韓国ファンの怒りを買ったにもかかわらず、7月の訪韓ツアーを通じて金を稼ごうとしている点だ。

トッテナムはソン・フンミンを人種差別から保護せず、彼を商業的に利用して金を稼ぐことに目が向いている。

ソン・フンミンを前面に出したトッテナムは、今夏にクラブ2度目の訪韓試合を行う。

7月31日にはソウルワールドカップ競技場でチームKリーグ(Kリーグ選抜)と対戦し、8月3日には同会場でDFキム・ミンジェ(27)ら擁するバイエルン・ミュンヘンと対戦する。世界的スターのプレーを身近に楽しめるまたとないチャンスだ。

トッテナムは2022年に実施した韓国ツアーを通じて、天文学的な収益を得たと伝えられている。韓国で広く愛される“国民クラブ”というイメージも確固たるものにした。

当時、トッテナムはKリーグ選抜、セビージャの2チームと対戦し、2試合ともに満員の観客が詰めかけた。多くのファンがソン・フンミンのトッテナムユニを着用し、スタジアムに訪れた。

しかし、今回の件をめぐるトッテナムの対応には、残念な気持ちが大きく残るしかない。

ベンタンクールは何の処分も受けず、韓国ツアーに同行することになるだろう。トッテナムは「我々が一番大事にしている」と主張するソン・フンミンのことを、実際には大事にしていない。

このような状況で、韓国のファンがベンタンクールの訪韓を歓迎するはずがない。

(記事提供=OSEN)

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