松下洸平、木戸大聖、井之脇海、齋藤潤 『9ボーダー』“誠意”ある“四者四様”の男性陣

コウタロウ(松下洸平)の気になる過去が明かされそうな『9ボーダー』(TBS系)。いよいよ物語は佳境に差し掛かろうとしている。ここで今一度振り返っておきたいのが、 “9ボーダー”な3姉妹をこれまで支えてきた男性陣だろう。今回は、コウタロウ、松嶋(井之脇海)、陽太(木戸大聖)に加えて第6話から登場した九吾(齋藤潤)の4人に焦点をあて、その魅力を探っていきたい。

●優しさ溢れる天使級の魅力/コウタロウ(松下洸平)

ひょんなことから七苗(川口春奈)と出会い、恋仲になっていくコウタロウ。“記憶喪失”というミステリアスなバックボーンを持ちつつも、持ち前の優しく包み込むような声とポジティブな考え方ですっかり七苗の心を解きほぐしていく。掴みどころのないキャラクターゆえに最初は視聴者から “妖精さん”と呼ばれることも多かったが、現在の誠実で優しい人柄はもはや“天使”のよう。自分の過去と向き合おうと静かに葛藤する姿が母性本能をくすぐり、思わず支えてあげたくなってしまう。

●頼れる精神的お兄ちゃん/陽太(木戸大聖)

長い時間を共に過ごした幼なじみという存在には、やはり特別な信頼関係があるものだ。口に出さなくてもわかってくれる人、飾らずに甘えられる人。陽太の魅力は、等身大の3姉妹を受け入れる“アニキ分”を感じさせる佇まいにある。年齢的には七苗と同い年だが、大庭家で中立の立場に立って3姉妹をなだめる様子からは、なんだか頼りになる男らしさを感じる。実は人一倍気遣いができるため、3姉妹だけでなくコウタロウや九吾にとってのキーパーソンでもある。

●異国情緒あふれるピュア/松嶋(井之脇海)

六月(木南晴夏)と出会ったその日から、個性全開の松嶋。全力でニコッと笑う顔がチャームポイントで、大型犬のように全身から喜びが表現される素直さが魅力だ。自分らしさを確立しており、ファッションのスタイルから将来過ごしたい国まで自分の想いを大切にしている。交際を躊躇する六月に対しても真っ直ぐ想い続ける一途さがあり、駆け引きのない体当たりな恋愛スタイルが視聴者の心をガッチリ掴む。

●大庭家のニューフェイス/九吾(齋藤潤)

第6話で突然七苗らの末弟であることが明かされ、衝撃の初登場で大庭家に仲間入り。はじめは心を閉ざし3姉妹と仲良くしようとしなかったものの、徐々に大庭家の空気に馴染んでいく。心を開いてからは、学校に通学して野球をやってみたいと素直に打ち明けることもできた。奥ゆかしく遠慮がちなところがあるが、些細な表情から優しく思慮深い人物であることが感じ取れる。

どのキャラクターも個性は強めだが、心優しく気持ちのいい人たちだ。“嫌な人”が登場しないことも、『9ボーダー』の良さだろう。ミステリアスな背景があったり、自分らしさがはっきり現れていたり、長くそばにいたり、初対面から家族になったりと、3姉妹との関わり方はバラバラだが、この4人に共通するのは「誠意」だ。誰もがお互いにリスペクトを持ち、相手の良さに目を向けて接している。こうした関わり合いが男女間だけでなく、男性同士からも感じられるところがまた素晴らしい。シーンのはしばしから誠実さが伝わってくるところが、本作のキャラクターに夢中になってしまう所以だろう。どの人物も選び難いほど魅力が詰まっているため、最終話までに人生を揺るがす“推し”ができてしまうかもしれない。

(文=Nana Numoto)

© 株式会社blueprint