天皇陛下の失敗談も!「わくわくするような経験」大学の“後輩”彬子さま語る両陛下のイギリス留学生活

天皇皇后両陛下のイギリス公式訪問の最終日、両陛下はかつて留学していた学び舎、オックスフォード大学を久しぶりに訪問されます。

今SNSで「大バズり」し、文庫本が累計25万部のベストセラーとなっている三笠宮家の彬子さまの留学記、『赤と青のガウン』の舞台でもあります。

オックスフォード留学の”後輩”にあたる彬子さまに、”先輩”である両陛下とのエピソードを伺いました。

「文庫化おめでとう」両陛下から留学前に現地生活の丁寧なレクチャー

「(陛下は)食堂での食事や洗濯の方法、図書館で本をどのように借りるか、ご自身はどの図書館がお好きだったかなど、親切丁寧に教えてくださった」「最後には、『必ずよい経験になるから楽しんでいらっしゃい』と送り出してくださった」 『赤と青のガウン』より

陛下と同じマートンカレッジで学んだ彬子さまは留学前、両陛下からお茶に招かれ、お二人の留学中のユーモアあふれるエピソードを聞かれました。

陛下の留学記『テムズとともにー英国の二年間』は去年新装復刊し、こちらも10万部の大ヒット。今、この2冊の留学記は書店で並んで平積みされ、両方読む人が増えています。”先輩”にあたる陛下は、園遊会で会った際に、彬子さまに「文庫化おめでとう」と声をかけられたということです。

彬子さまは、「書店でもご一緒に売ってくださっているところが多いので、並べていただけることがとてもありがたいと思って、思わず写真を撮ってしまいました」と嬉しそうに話されました。

陛下の人生初の洗濯失敗談 彬子さま「風景が実体化しわくわくするような経験」

エリザベス女王を始め、イギリス王室から家族のようなおもてなしを受けた交流の思い出や、初めての寮生活などについて記された陛下の留学記『テムズとともに』。

本の中で、陛下は人生初のコインランドリーでの大失敗のエピソードを明かされています。

「私は手順通りに機械の中に洗濯物を入れ、洗剤を注ぎ、お金を入れた」「40分後に再び地下のローンドリーに行ってみた。すると、辺りは泡だらけである。よく見ると泡は明らかに私が使用した洗濯機から流出している。洗濯物の詰めすぎであった」 『テムズとともにー英国の二年間』より

このエピソードを実際に陛下から聞き、『テムズとともに』を読まれた彬子さま。留学中に現地でその洗濯機を目にしたそうで、「実際に見ると実体化し、本当にわくわくするような経験」だったと話されました。

「この道を陛下がお歩きになられたのか、皇后さまはここにいらっしゃったんだなと思いながら町歩きをできたというのは、楽しい経験でございました」と、当時を振り返られました。

初めて両陛下揃ってのオックスフォード訪問「思いもひとしおでは」

彬子さまにとって留学生活の道しるべだった”先輩”の存在。陛下は1983年から85年、皇后さまは1988年から1990年。お二人の留学期間はすれ違っています。

彬子さまに対し、心底懐かしそうにお互いの留学生活を振り返られていたという両陛下。

今回初めてお二人揃って訪問されることについて、彬子さまは「両陛下としてお出ましになられるというのは本当にうれしいことでございます」「その当時はご一緒にいらっしゃることは無かった場所に、今度はお二方でお出ましになられるということで、きっと思いもひとしおでいらっしゃるのではないかと拝察いたします」と喜ばれていました。

陛下の人生唯一の「市民生活」オックスフォードは皇后さまとの大切な共通項

皇室に生まれ育った陛下にとって、オックスフォードは、一人の学生として勉強に没頭し、”一般市民”として日本国内では経験できない自由な生活を送られた唯一の場所。

そして、イギリス王室と家族のような温かい絆を築き、王室と国民との関係性を市民の目線で見つめたことで、将来の「皇太子」「天皇」として、「国民の中に入っていく皇室」のあり方を見いだされた場所でもあります。

陛下は帰国の翌年の1986年に、スペイン王女を歓迎する茶会で、当時外交官試験に合格し、外務省への入省を控えていた皇后さまに出会われました。

皇后さまは、”お妃候補”として注目されるようになると、1988年にその注目から距離を置くように、外務省からの研修生という立場でオックスフォードに留学し、学びに集中されました。

出会いから結婚に至るまでには5年の月日を要された両陛下。同じ大学で真摯に学んだ経験は、貴重な共通項であり、様々なことを乗り越えて結婚されてから今年で31年が経ちました。

イギリスでの公式日程を終え、旅の最後に足を運ばれる思い出の地。

訪問に向けた記者会見で、陛下は「私たちにとって、英国はそれぞれ留学生活を送った思い出の地であることもあり、今回の訪問を楽しみにしています」「今回の訪問で、初めて雅子と一緒にオックスフォードのマートン・コレッジやベイリオル・コレッジなどを訪れ、市内を散策することを心待ちにしております」と、出発直前の心境を明かされました。

それぞれが勉強に打ち込んで青春を謳歌し、自分自身のあり方を見つめた場所に、初めてお二人揃って、また天皇、皇后として立たれることは、彬子さまのおことば通り、「思いもひとしお」なのではないかと拝察しています。

現地で同行取材し、そのご様子をまたお伝えしたいと思っています。

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