フリーランスなど「ひとり社長」の方は、喫茶店やカフェで仕事をする機会も少なくないでしょう。そうなるとバカにならないのが飲食にかかるお金。それが経費できるかで手取りも大きく変わってきます。本記事では、『【超完全版】マンガでわかる 手取り倍増!ひとり社長の世界一ゆるい節税』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集して、ひとり社長が知っておきたい会食・会議における節税ポイントの基本を解説します。
Q. ひとり社長の飲食費は経費精算の対象になる?
A. 仕事で利用したことを説明できれば喫茶店代は経費にできる
・経費にできるのは仕事で利用した場合のみ
・仕事内容や打ち合わせ内容をメモしておく
・飲み物は経費にできるが食べ物は難しい
[漫画解説1]ひとり社長の飲食費は経費精算の対象になる? [漫画解説2]ひとり社長の飲食費は経費精算の対象になる?
喫茶店代は経費にできる
コロナ禍以降、オンラインの打ち合わせが増え、喫茶店でパソコンを開いて取引先などと仕事の打ち合わせをする機会が増えました。その際に喫茶店で支払う飲み物代は経費にできる可能性があります。
喫茶店での飲み物代は、「会議費」として扱います。会議費は、その名のとおり会議のために支払う費用のことで、経費(税法上の損金)にできます。
ちなみに、会議費と似た経費には、「交際費」や「福利厚生費」があります。交際費は、仕事に関わる人との会食や接待、謝礼のためなどの費用、福利厚生費は従業員などに向けた給与以外のサービスにかかる費用のことで、この2つに該当しない費用が会議費といえます。
[図表1]飲食を伴う費用の区分け
食事代は生活費とみなされる
ひとり社長の喫茶店代を経費にするためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
まずは経費精算の基本中の基本として領収書(レシート)が必要です。領収書は、その日、その場で経費が発生したことを示す重要な書類ですので、必ずもらって保管しておく必要があります。
2つ目の条件も基本中の基本で、仕事のための利用でなければなりません。勤務時間内であっても息抜きや休憩のために利用した喫茶店代はプライベートな利用とみなされることが多く、税務調査では基本的に経費として認められません(否認されます)。
3つ目の条件は、外出先で作業が必要になったなど明確な理由があることです。気分転換に喫茶店で仕事をすることもあるでしょうが、1人での利用は税務署視点では生活費の一部と判断されることが多いといえます。
ただ、1人利用であってもオンライン打ち合わせをした際は、経費として認められる可能性があります。オンラインで誰かと仕事をしたのであれば、1人利用ではなく複数の人で利用したことになると考えられるからです。
4つ目の条件は、飲み物代であることです。オンライン打ち合わせで利用したとしても、経費にできるのは飲み物代のみで、食事代は経費にできないケースがほとんどです。
喫茶店でオンライン打ち合わせをするためには何か注文しなければならず、飲み物代は経費にできます。しかし、食事代は仕事かどうかに関係なくすべての人に必要な支出であり、税務の観点からは生活費として扱うのが一般的と考えられています。
仕事や打ち合わせの内容をメモしておく
以上の条件を踏まえて、喫茶店代を経費にするためには、仕事での利用であることを説明できるようにしておくことが重要です。そのためには仕事の内容やオンライン打ち合わせの場合は出席者(相手の会社名、氏名、人数)をメモしておく必要があります。
また、打ち合わせの内容や決定事項についても、数行でよいのでメモを残しておくことが重要です。これは2人以上でオフラインの打ち合わせをした場合も同じです。
重要なのは仕事で利用したことを説明できるかどうかですので、誰と、どんな用件で喫茶店を利用したかをきちんとメモしておくことが重要です。
[図表2]喫茶店代を経費にするための情報
あらぬ疑いを招かないことが大事
メモなどによって仕事であることを説明できれば喫茶店代は経費にできますが、税務調査対策としては税務署に「怪しい……」と思われない使い方をすることが重要です。
例えば、毎日のように喫茶店代を経費にしていたら、税務署は「喫茶店で仕事をする必要があるのだろうか」と思います。「プライベートの支出も全部入れているのではないか」「喫茶店以外の領収書も怪しいのではないか」と疑います。
そのような疑いをかけられないようにするためにも、嘘をついたり偽装したりしないことはもちろんですが、必要なときに喫茶店を利用し、利用したときには喫茶店で仕事をする必要があったことを説明できるようにしておくことが大事です。
【ひとことポイント!】
喫茶店の1人利用でも、オンライン打ち合わせなら経費にできる!
打ち合わせ内容のメモを残そう!
Q. オンライン会食は経費にできる?
A. 会の詳細を説明できれば会食の費用は経費にできる
・会食の費用は会議費(1人当たり1万円以下)
・1人当たり10,000円超なら交際費
・会議の内容をメモしておく
[漫画解説1]オンライン会食は経費にできる? [漫画解説2]オンライン会食は経費にできる?
会議費は食事代も経費にできる
社外の人とオンラインでつなぎ、会食をした場合、非対面でもその費用は会議費として経費にできます。前節で説明したオンライン打ち合わせの喫茶店代と似ていますが、会議費には食事代も含むことができます。ランチミーティングなどを行う場合も、その費用を会議費として計上できます。
会議費とするための条件は、仕事に必要な会であることです。取引先との親交を深めるための会食は認められますし、現時点で取引がなくても、将来的に顧客になる可能性がある相手との会食も経費にできます。また、直接の取引相手ではなく、仕事に関連する情報収集のための会食も経費にできます。
一方、友人との会食は経費にできません。そのような背景を説明するために、会議の内容を記録しておきましょう。
なお、会議費は1人当たり1万円以下と決まっています。10人であれば会議費は10万円以下になり、それを超える場合は、全額を交際費として処理します。
費用、回数、場所が指摘されやすい
税務調査対策として会食の回数と場所にも注意が必要です。会食が多すぎると税務調査で指摘される原因になります。
税務署はあらゆるデータの平均を調べています。業界別の年間の会議費の平均も把握しているため、高すぎたり多すぎたりすると指摘するのです。とくにひとり社長の場合はオンライン会食を多用しているとプライベートの利用を疑われる可能性があります。
[図表3]会議費として計上するために必要な情報
【ひとことポイント!】
会議費なら食事代も経費にできる!
否認されないために、費用、回数、場所に注意しよう
はたけ
個人専門税理士/ビジネス系インフルエンサー
なちぼぅ★
漫画家