「最っ高!」なバーディ締め 渋野日向子は恐怖心に負けず全ホール1W

5度目の「全米女子プロ」では自己ベストの4位発進を決めた(撮影/村上航)

◇女子メジャー第3戦◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 初日(20日)◇サハリーCC(ワシントン州)◇6731yd(パー72)

最終18番、残り94ydだった渋野日向子の3打目はディボットに入っていたという。「でも、長めのヤツの“際”とかじゃなくて、間に(クラブを)入れるところがあったから、まだ良かった」。54度のウェッジショットはイメージ通り。ピン手前にキャリーしてトン、トン、キュッと左横1m弱にピタリとつけた。「『止まれー!』って。メチャクチャ気持ちよかった。最っ高!」。気持ちをたっぷり乗せ、豪快に笑うバーディ締めで2アンダー「70」にまとめた。

1Wを振り続けた(撮影/村上航)

左右からせり出す木が視覚的なプレッシャーをかける林間コース。それでも、パー3を除く14ホールで1Wを握り続けた。3週前の「全米女子オープン」から描く上昇カーブに最も貢献しているロングゲームは、前半6番(パー5)で見せ場を作った。「メチャクチャいいボールが打てた」とうなずくドライバーから、エッジまで約220ydのセカンドを3Wで届かせてバーディ先行につなげた。

「デカかった」と振り返るのは10番のボギー。1Wショットが右に飛び出し、木の裏からフェアウェイに出そうとした2打目も枝に当たってラフへ。3打目も左手前の池を警戒して奥のバンカーにこぼした。それでも、目の前の土手に落とし、あとは下り傾斜を走らせるだけだったバンカーショットがパーフェクトだった。「(サンドウェッジを)結構“ギャン開き”して、思い切って振って。もう、最悪なパターンでダボ(ダブルボギー)を打ってもおかしくないような感じだったから、切り替えることができた」。前を向いて14番からの2連続バーディ、18番のフィニッシュを引き寄せた。

10番の“ナイスボギー”がポイントに(撮影/村上航)

タイトなコースでフェアウェイキープ率は85.71%(12/14)をマーク。「すごく狭いから、(打つ前に)気持ちを引き締めてから行く感覚はある。メンタル的にも怖いなと思うところはあるけど、しっかり気持ちで負けないようにと思って振れていたのは良かった。『ほかのコースでもやってくれ』って話なんですけど…」。自らツッコミを入れて笑いを誘うあたりも、ティショットの充実を物語る。結果的にフェアウェイに残ってくれた場面もあり、ここから3Wの精度を上げて選択の幅を広げていく必要性に触れる冷静さものぞかせた。

「私はまぐれ」と言っても期待は膨らむスタート(撮影/村上航)

今季限りで引退するレキシー・トンプソン、世界ランキング1位のネリー・コルダ、予選同組のメジャー覇者パティ・タバタナキット(タイ)と役者がそろう上位3人に続く4位発進。「やっぱり、トップ(クラス)の人が上にいる。そういうのがメジャーかなって。私は1日目のまぐれですけど、気を引き締めて、4日間頑張らないといけない」。2位だった全米女子オープンに続く優勝争いへ、まず初日をクリアした。(ワシントン州サマミッシュ/亀山泰宏)

タフなコースに立ち向かった(撮影/村上航)

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