「赤ちゃんをおんぶする水鳥」 甘えん坊の激萌え赤ちゃんに胸キュン!【東京都】

この時期、都市公園の池での人気者といえばカイツブリ。赤ちゃんをおんぶする姿が人のハートを射止めます。そんな熱い視線はなんのその。赤ちゃんは親鳥の背中で超ご機嫌(撮影:相田俊)

そろそろ梅雨入りも間近になってきて、アジサイやショウブが見頃を迎えています。野鳥たちは、子育ての真っ最中。ヒナや若鳥たちを連れたファミリーの姿をあちらこちらで見かけるようになってきました。

そのような中、都市公園でかわいらしい水鳥「カイツブリ」の親子を見つけました。赤ちゃんをおんぶして泳ぐ姿は、人間とよく似ていてなんとも微笑ましい限りです。

■都市公園で子育てをする水鳥「カイツブリ」

緑鮮やかな都市公園。ショウブが咲き乱れ、池にはカワセミの姿を見ることもあります

冬にはカモ類で賑わっていた都市公園の池も、春になると多くのカモが北国へと帰ってしまい、静かな時を迎えます。そんな池で泳ぐのは、親子による引っ越しで有名なカルガモと、カイツブリくらいです。

カイツブリは、水鳥ではあるもののカモの仲間ではなく、カイツブリ科に属する野鳥です。大きさは、カルガモの半分以下の小さな水鳥で、水の中によく潜り、魚や水生生物を捕らえます。

■生まれたばかりの赤ちゃんに会うことができました

6月上旬、東京都郊外の都市公園を訪れたところ、カイツブリが営巣しているのを見つけました。カイツブリの巣は、水生植物や杭などに枯れ葉などを積み上げて作られています。そのため、浮いているにもかかわらず、風で流されることもなく、水位によって上下移動できる優れた機能を持っています。

この公園の巣は、多くの市民が訪れる散策路と数メートルしか離れていない位置に作られていました。もしかしたら、カラスなどの外敵から巣を守るために、人間との距離が近い場所に意図的に営巣したのかもしれません。

2日後、巣の様子が気になり再訪してみました。すると、親鳥が巣から立ち上がった瞬間、5個の卵とピンク色の嘴をした小さな赤ちゃんが生まれているのに気づきました。体には縞模様があり、イノシシの赤ちゃん「ウリ坊」にそっくりです。周囲の方の話によれば、その日の朝には、まだ生まれていなかったとのことでしたので、生まれたばかりの赤ちゃんに出会えたことになります。親鳥の赤ちゃんを見つめる優しいまなざしが印象的でした。

■甘えん坊の赤ちゃんたちの激萌え姿に胸キュン!

一週間後に行ってみると、かわいらしい赤ちゃんが2羽、親鳥と元気に泳いでいました。巣には5個卵があったのですが、残念ながら2個しか孵化しなかったようです。

「ボクも背中に乗せてよ~!」

カイツブリは赤ちゃんをおんぶすることでも有名です。しばらくすると、1羽の赤ちゃんが親鳥の背中に乗りました。たまらず、もう1羽がピーピー鳴きながらアピールします。とは言っても、親鳥は、赤ちゃんが背中に乗るのを助けることはしません。赤ちゃんが自力で乗らなければなりません。その後、2羽とも仲良くおんぶしてもらうことができたようで、ほっと一安心です。

気が付くと、一羽がぐっすり眠ってしまったようです。少し泳いだだけで疲れてしまったのでしょう。親鳥の背中ほど安心できる場所はありません。人間の赤ちゃんと同じですね。

ところで、カイツブリは雌雄同色のため、その識別は困難とされています。しかも、雌雄で協力して子育てをするのです。ですから、抱卵も赤ちゃんのおんぶも父親がイクメンぶりを存分に発揮しているはず。ジェンダーに支配されがちな筆者には、つい「お母さんにおんぶされる赤ちゃん」の印象が強すぎて、父親の活躍がイメージしづらいのが申し訳ないところです。カイツブリを見ながら、夫婦観を見直さなきゃ、と一人静かに反省します。

餌をとってくるのも共同作業。私が見ている限り、餌は全てエビでした。小さなエビも、赤ちゃんにはまだ大きいようで、何度もくわえ直しては優しく口元に運んであげていました。

さらに一週間後、再び池を訪れると、赤ちゃんは順調に育っていました。体が大きくなり、もう体ごとおんぶしてもらうことは難しいようです。それでも、甘えん坊度は変わらず。親鳥の羽の下になんとか頭だけでもと潜り込ませていました。

赤ちゃんが親鳥から独り立ちするのは、生まれてから60日くらい後のこと。まだまだ先は長いですが、餌のとり方や外敵からの身の守り方をしっかりと学び、立派な大人に成長してほしいと願っています。

© 株式会社双葉社