[バイクの仕組みQ&A] 油圧式/ワイヤー式クラッチ、何がどう違うのか?

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[Q] クラッチの操作に油圧式とワイヤー式があることを知りました。油圧式のほうが高価なバイクに使われている気がしていましたが、スーパースポーツやスポーツネイキッドにも使われています。この2種類は、そもそも何が違ってどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

●文:ライドハイ編集部(根本健)

[A] それぞれメリット/デメリットがあります

クラッチ操作に油圧式を採用したのは、いわゆるメンテナンスフリーを目指したのがそもそもの始まりでした。バイクのクラッチは、ダイアフラムスプリングを使った単板式のクルマとは異なり、クラッチプレートとフリクションプレートとが交互に組まれた多板式という構造が一般的です。

これは、エンジンをコンパクトにするため。もっとも多い横置きクランクシャフトに対し、トランスミッションを並行に置く構成では、クラッチの径を大きくできないからです。また、バイクのエンジンにはレスポンスに俊敏さが求められますが、大きな径だと回転したときの慣性力で速やかな回転上昇が妨げられてしまうことになります。

要するに、強大なパワーやトルクであるほど、クラッチは滑らずに駆動力を伝えるため相応の面積を必要とするのですが、この径が大きくなってしまうのを何枚にも分散して小径化しているわけです。

ところがこの多板式、ちょっとした摩耗でも6〜8枚もあるために、すべてが合わさるとクラッチの切れる位置や半クラッチの位置がすぐに変わりやすいという弱点があります。また強烈に半クラッチを使った後など、熱膨張でクラッチ操作のレバー位置が変化してしまいます。

これを昔からあるワイヤー式から油圧式にすると、(限度はありますが)構造上はほとんどレバー操作の位置が変わらずに済むというメリットがあるのです。

【バイクのクラッチは湿式多板式が一般的】エンジンにコンパクトさが求められるバイクでは、クルマのようにクラッチの径を大きくできない。そのため、クラッチプレートとフリクションプレートを交互に重ね合わせることで容量を稼いでいる。この構造から生じる問題点を解消することを目的に、油圧式とワイヤー式が存在している。

― ワイヤーよりも油圧のほうが取り回しの自由度が高い

さらに、フレームがアルミのツインスパーのように大きな面積を占めたり、タイトなカウルが装着されたりと、以前より隙間がなくなり、ワイヤーの取り回しに苦労するようになったという事情もあります。油圧式なら、金属パイプを介した取り回しにすれば、狭いところでも貫通させることができるからです。

また、ワイヤー式は長年使い続けると摩耗して切れることもあるのに対し、油圧式にはその心配がありません。

しかし弱点もあります……

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※本記事は2021年8月25日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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