金額別、金利別にシミュレーション!2000万円が必要な理由も解説
老後2000万円問題がありますが、50歳から2000万円の準備はできるのでしょうか。
2024年6月7日に総務省から発表された「家計調査報告-2024年(令和6年)4月分-」によると、2人以上の世帯の消費支出(2024年4月分)は、1世帯当たり31万3300円となっています。
インフレによる生活用品などの値上がりにより、引き続き消費支出は増えていくと予想されています。
この記事では、消費支出や公的年金金額により老後資金がどのくらい必要か確認し、50歳から65歳までに2000万円を貯めるための運用をシミュレーションします。
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【年利別】50歳から65歳の間に貯める積立投資シミュレーション
50歳から65歳までの15年間の運用でも、今からはじめれば老後資金の備えは十分可能でしょう。
運用益が非課税になる新NISAを活用すると、さらに効率的な運用になります。
ただし積立投資試算の運用利回りは確定ではなく、元本割れのリスクがあるので注意しましょう。
まずは15年間で2000万円貯めるためにどのくらいの積立金が必要か、投資シミュレーションしていきましょう。
【シミュレーション】15年間で2000万円貯めたい場合の毎月の積立額
積立投資のみで2000万円を貯める場合に必要な積立額は、下記のとおりです。
想定利回り2%でも、9万5350円の積立投資で、15年後に2000万円の準備は可能です。
【シミュレーション】毎月5万円・15年間積立投資した場合
毎月5万円で積立投資した場合、想定利回り5%で運用しても15年間で2000万円貯めるのは難しくなります。
毎月5万円を15年間積立投資した場合(利率別)は、下記のとおりです。
毎月5万円を想定利回り5%で積立投資しても1336万円のため、2000万円には届きません。
【シミュレーション】利回り3%・15年間で積立投資した場合の毎月の積立額
利回り3%の積立投資で2000万円を目標に運用する場合、毎月約9万円必要です。
想定利回り(年率)3%を15年間で積立投資した場合は、下記のとおりです。
毎月の負担を減らしたい場合は、ボーナスなどまとまった資金が入る時期に新NISAの成長投資枠の活用をするなど、ほかの資産運用を合わせて資産形成をおこなうとよいでしょう。
積立投資で利回り(年率)が高い商品を望む方もいると思いますが、利回りが高い分、リスクを伴います。
銘柄選定の際は、選択している投資先を目論見書や投資信託のホームページなどで調べて、許容内のリスクか確認しましょう。
老後に2000万円が必要な理由
では、老後2000万円が必要な理由についても振り返りましょう。
老後資金の2000万円問題の発端は、2019年6月に金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」で発表されたことにより、関心を集めたためです。
主な内容は、下記のとおりです。
夫65歳以上、妻60歳以上、夫婦のみ無職の世帯の場合
- 毎月の不足額は平均約5万円
- 20~30年の老後生活での不足額総額は1300万円~2000万円になる
退職して世帯の収入が公的年金に限られた場合、老後資金が2000万円必要になると試算されました。
65歳以上の家計収支は毎月3万~4万円の赤字
2024年6月、総務省「家計調査報告(家計収支)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上無職世帯では毎月3万~4万円赤字になっています。
夫婦2人世帯の場合の家計収支は、下図のとおりです。
65歳以上の夫婦2人無職世帯の場合、実質収入は約24万4000円です。
一方、平均支出は約28万2000円のため、毎月約3万8000円不足します。
65歳以上の単身世帯の場合も、実収入が約12万6000円、平均支出は15万7000円となっており、毎月約3万円の赤字と試算されています。
将来の公的年金額では生活費が足りない
年金受給時に受け取れる、公的年金額を確認しましょう。
老後にもらえる年金の金額は、老齢基礎年金は加入月数、老齢厚生年金はさらに年収などにより異なります。
ご自身の年金額が知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」や厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を活用して試算しましょう。
上記により、基本的には収入が公的年金のみの生活は難しく、貯金や資産運用などで老後資金が必要です。
平均寿命の高齢化や老後も収入がある世帯など、収入や支出は各世帯で異なるため、2000万円以上に資金が必要になる場合もあるでしょう。
50歳から65歳までの期間でも2000万円準備は可能
50歳から65歳までの15年間で、老後資金2000万円の準備は可能です。
ただし投資はリスクがあるため、運用を始める際はリスクや投資信託の内訳や手数料などをきちんと調べておきましょう。
今回の試算を参考に、老後資金準備を検討されてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「家計調査報告-2024年(令和6年)4月分-」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」
- 総務省「家計調査報告(家計収支)2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「令和6年4月からの年金額等について」
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」