扶養内パート勤務の40代。職場で「年収240万円」の地域限定社員になると、“将来の年金額”はどれだけ増える?「地域限定社員」のメリット・デメリットも解説

地域限定社員とは?

地域限定社員(エリア社員)は、企業によって細かい内容が異なりますが、転勤が無く一定の地域を勤務地として働く正社員です。

このほかに、仕事の範囲を限定する「職務限定正社員」、勤務時間を限定して時間外労働(残業)があることを就業規則で定めていない「勤務時間限定正社員」制度を導入している企業もあり、これらの限定正社員制度を総称して「多様な正社員」と呼ばれます。

厚生労働省が令和6年に公表した「多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説」によると、2022年の調査で「多様な正社員」制度は18.3%の企業で導入されており、このうち勤務地限定が9.6%、職務限定が9.8%、勤務時間限定が7.5%です(複数回答のため、3つの制度を重複して採用している企業も含まれます)。

地域限定社員になることでのメリット・デメリットは?

地域限定社員になることでのメリット・デメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

<メリット>

扶養内パート勤務よりも収入が上がり、将来に受け取れる年金額も上がります。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「多様化する労働契約の在り方に関する調査(企業調査、労働者WEB調査)結果(2022年)」によると、「多様な正社員」の基本賃金の水準を、通常の正社員と同じと定めている企業が約44.5%で、その次に「正社員の9割程度」とする企業が約16.7%でした。

そして、働きたい地域で働き続けることができるため、家庭の事情などで転勤が難しい人も長く働き続けられます。それによって、例えば地域限定社員が勤務地の行事・祭事に合わせた品ぞろえなどを提案し、地域のニーズに合うサービス提供や顧客との取引を長く続けられることも可能です。

<デメリット>

デメリットとしては、企業の業績低下や事業の廃止などに伴う解雇・配置転換が行われるケースもあることです。厚生労働省の調査によると、約6割の企業が「正社員の取扱いと全く同じく、できる限りの雇用維持努力を行う」と回答しています。

地域限定社員になると年金はいくら増えそう?

扶養内パートから地域限定社員になると、将来の年金額はいくら増えそうでしょうか。

日本年金機構が発表した、令和6年度の国民年金(満額)は月額6万8000円で、夫婦2人分の標準的な厚生年金は月額23万483円です(月43万9000円で40年間働いた場合の、老齢厚生年金と2人分の満額の老齢基礎年金)。

40歳で扶養内パートから地域限定社員になり、年収240万円(月収20万円、ボーナス等は含まず)で65歳まで25年間(300月)働いた場合、次の計算式で将来の年金受け取り見込み額を試算します。

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月収20万円×(5.481÷1000)×300月=報酬比例部分(年額)約32万8860円
(基礎年金満額月額6万8000円×12)+報酬比例部分(年額)約32万8860円=将来の年金受け取り見込み額(年額)約114万4860円(月9万5405円)
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年収が上がることによって、自分が将来受け取れる厚生年金額も増える見込みになります。

まとめ

地域限定社員(エリア社員)は、原則として転勤が無く一定の地域を勤務地として働く正社員です。基本賃金は通常の正社員と同じ基準と定めている企業が多く、長く働き続けやすいことと、将来の年金受け取り見込み額が上がることがメリットです。

さまざまな事情で転勤が難しい人にとって、働きやすい雇用形態といえるでしょう。働き方の選択肢への参考にしてください。

出典

厚生労働省 多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説全業種版
独立行政法人労働政策研究・研修機構 多様化する労働契約の在り方に関する調査(企業調査、労働者WEB調査)結果(2022年)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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