無形文化遺産、中国旅行の呼び物に 花かんざしに抹茶

無形文化遺産、中国旅行の呼び物に 花かんざしに抹茶

福建省泉州市の蟳埔村で「簪花囲」を着けて自撮りする観光客。(1月26日撮影、福州=新華社記者/魏培全)

 【新華社北京6月21日】中国各地で伝統芸能や民族衣装、民芸品づくりなどが観光の呼び物として人気を集めている。無形文化遺産と旅行の組み合わせが、観光地に新たな消費の活力をもたらしている。

 福建省泉州市の蟳埔(じんほ)村では昨年から、地元に伝わる装飾具の花かんざし「簪花(しんか)」がSNS(ソーシャルメディア)で話題を集め、観光業界が沸き立っている。頭の上に花園ができたかのような「映え」写真が撮れると、女性を中心に人気に火がついた。この花かんざしを含む「蟳埔女性の習俗」は2008年、第2次国家級無形文化遺産リストに登録されている。

無形文化遺産、中国旅行の呼び物に 花かんざしに抹茶

杭州市余杭区の茶室で、海外からの観光客に宋代の「点茶」を実演する茶文化の専門家。(2022年3月29日撮影、杭州=新華社記者/段菁菁)

 浙江省杭州市では、北宋時代の同地の茶坊を舞台にした恋愛ドラマ「夢華録」の影響で、抹茶を立てる技法「点茶」が脚光を浴びている。洋装の仕立業が盛んだった同省寧波市では、1990年代の上海を舞台にしたドラマ「繁花」の大ヒット後、男性主人公と同じスーツを仕立てたいと地元のテーラーに注文が殺到するようになった。江蘇省揚州市には今年の労働節(メーデー)連休期間(5月1~5日)、うちわや扇子に模様をつける無形文化遺産の「漆扇」作りを体験しようと大勢の観光客が訪れた。どのプログラムや商品にも、中国無形文化遺産の伝統技法が凝縮されている。

無形文化遺産、中国旅行の呼び物に 花かんざしに抹茶

唐代に始まった福建省泉州市の国家級無形文化遺産「泉州花灯(ちょうちん)」。(資料写真、泉州=新華社記者/魏培全)

 中国オンライン旅行会社(OTA)大手の同程旅行のデータによると、今年の端午節連休期間(6月8~10日)は、無形文化遺産や民俗文化の体験や「竜舟 (ドラゴンボート)」のレース観戦が人気を集めた。電子商取引(EC)大手アリババグループ傘下のオンライン旅行サービス「飛猪(フリギー)」の担当者によると、泉州市の花かんざしの撮影旅行のほか、貴州省黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州にあるミャオ族の集落「西江千戸苗寨」を訪れるツアーも好評を博しているという。(記者/李卓璠)

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広東省深圳市に伝わる、魚をかたどった灯籠を使った伝統舞踊「沙頭角魚灯舞」。(1月6日撮影、香港=新華社記者/朱煒)

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青海省海東市互助トゥ族自治県に伝わるトゥ族の刺しゅう芸術「土族盤繡」。(5月8日撮影、貴陽=新華社記者/陶亮)

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チベット文化を代表する仏画の「タンカ」。(2023年9月28日撮影、ラサ=新華社記者/姜帆)

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明代に始まった河北省張家口市蔚県に伝わる無形文化遺産「剪紙(せんし、切り絵細工)」。同県の「剪紙」は「切る」ではなく「彫る」という。(2月12日撮影、張家口=新華社配信/陳其保)

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中国の三大美術工芸の一つに数えられる北京の七宝焼き「景泰藍(けいたいらん)」。かつては宮廷の御用品だった。(2024年5月15日、北京=新華社記者/李欣)

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江蘇省蘇州市に伝わるつづれ織り「緙絲(こくし)」の手織り。模様と地色の間に彫刻刀で彫ったような切れ目が入っていることから「刻絲」とも呼ばれる。(資料写真、蘇州=新華社配信)

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